2022年も7月を迎えて後半に入りました。
梅雨期間でない初の7月の星空案内となります。6月29日午前、関東に続いて東北南部も梅雨明けしたとみられると気象庁から発表がありました。6月の梅雨明けは統計史上初ということで、これから猛暑の時期が長く続くことになると思われます。今年の東北南部地方での梅雨入りは6月15日とほぼ平年並みでしたが梅雨入り発表の後も思ったほど梅雨らしさが感じられないお天気でした。何となく今年は空梅雨っぽい感じがしていたのですが・・これも地球温暖化の影響のひとつなのかもしれません。

星が好きな人にとっては梅雨明けが早いのはありがたいことなのですが・・・あまりにも梅雨明けが異常に早いと夏場の水不足と猛暑による熱中症等も心配されます。また多くの家庭や職場でも冷房を使う頻度が多くなり電力不足も懸念される問題もあったりしますので今年の夏は暑さ対策を工夫して乗り切りたいですね!あまり梅雨明けが早い年には梅雨が明けても思ったほどスッキリ晴れた夜が多くない傾向もあるのでなるべく平年並みになってほしいところです。
星空の方では明け方に勢ぞろいしていた惑星たちも7月になると火星以降の外惑星は昇ってくる時間も早くなり、夜明け頃の高度も高くなって来るのでだいぶ見やすくなってきます。7月初め、会津での主な惑星が昇ってくる時間を調べてみると以下のようになりました。

金星  2時24分
火星  0時15分
木星 23時21分
土星 21時32分

この中では土星がやぎ座の尻尾付近にあるので昇ってくる時間が早く、夜中には南東の空に見えていますから望遠鏡でも特徴的な姿が楽しめそうです。
土星は地球から見た時の環の傾き具合が毎年少しずつ変化して行くのでそんな様子も追いかけていきたいですね。2025年末頃には土星のほぼ真横くらいから眺められるようになるのでそれまでは毎年環の傾きが少なくなっていきます。環の傾き具合の変化で同じ土星でも望遠鏡で見た時の印象がだいぶ変わります。今年の土星は9月後半になれば21時過ぎに南の空に来るので観望会などでも見やすくなりそうです。
火星や木星はやはり夜明け前の2時半頃が見やすそうです。(以下の図は7月1日 2時30分の夜空)まだ見ていない方はぜひこの時期に夜明け前の空でそれぞれの惑星の明るさや色の違いを確かめてみて下さい!


今月10日には比較的明るいさそり座の2等星が月に隠される星食も見られます。更に21日深夜には火星食(出現のみ)も面白そうです。
そして13日深夜の満月は今年最大の満月となるスーパームーンとなりますのでこちらもお楽しみに!

☆はやぶさ2関連情報

☆JAXA「はやぶさ2」ミッショントップページ
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/

こちらにある「はやぶさ2」関連のニュースも要チェックですよ!
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/news/
はやぶさ2特設サイトも更新されていたのでこちらもご覧ください!
https://fanfun.jaxa.jp/countdown/hayabusa2/

そして先月には、はやぶさ2が採取してきた小惑星リュウグウの砂から多くの種類のアミノ酸が検出されたという話題が各方面で大きなニュースとなっていました。

NHK 6月6日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220606/k10013659611000.html
他にもたくさんありますので「はやぶさ2 ニュース」で検索してみて下さい!新しい内容のものですと以下のニュースもぜひご覧ください!

東京新聞 6月26日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/185761

こちらもぜひ見て頂きたい動画がはまぎんこども宇宙科学館が企画して行ったトークライブ「リュウグウのサンプルが語り始めたこと」シリーズです。4月から始まったこのトークライブは7月にも2回開催予定となっています。
https://www.yokohama-kagakukan.jp/kidsscience2022/talkevent
ここからこれまでに開催された配信の内容を見ることが出来ますのでお時間のある時に是非ご覧ください!
https://www.yokohama-kagakukan.jp/past_movie/haisinevent

そして福島市では7月16日~8月21日にかけて、とうほう・みんなの文化センター(福島県文化センター)3階展示室にて写真展「138億光年 宇宙の旅」を開催するようです。
パンフレットを見ると「NASAの画像を中心に観測衛星や探査機がとらえた美しい天体写真125点を展示」となっているのでかなり迫力ある写真展になりそうです。他にも本物の隕石の展示やAR体験、移動式プラネタリウムの上映や組み立て望遠鏡教室等と盛沢山の内容となっているので今から楽しみです。更に、先月会津そらの会のイベントで展示した小惑星リュウグウから「はやぶさ2」が採取してきたサンプルのレプリカも展示予定となっています!先月のイベントに行けなかった方にもおすすめですよ!チケットは前売り券が下記から購入できますので夏休みにぜひお出かけください!
https://l-tike.com/event/mevent/?mid=648444

郡山市駅前にあるふれあい科学館のプラネタリウムでは7月2日(土)から新番組「HAYABUSA2 -REBORN-」の上映が始まります!!
http://www.space-park.jp/
http://www.space-park.jp/contents/special/archives/202206/111401.html上映が休止になる日もあるのでふれあい科学館のサイトで事前に確認して下さい!

また、7月23日(土)にはふれあい館で上映する「HAYABUSA2 -REBORN-」作品の監督を担当された上坂浩光氏の「はやぶさ2」帰還カプセル展示記念講演会「もうひとつの“はやぶさ”ミッション」も開催されるそうです。こちらは予約制で7月3日より下記サイトから申し込みが必要となります。
http://www.space-park.jp/recruit/archives/202206/261700.html
「はやぶさ2」に関心のある方はこちらもぜひ申し込んでみてください!!

「はやぶさ2」の旅はまだまだ続きます。
「頑張れ! はやぶさ2!!」
これからもみんなで応援していきましょう!

2022年7月での月の満ち欠けは以下のようになっています。
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上弦  7日(木) 11時 14分
満月 14日(木)  3時 38分 ※ スーパームーン(2022年最大の満月)
下弦 20日(水) 23時 19分
新月 29日(金)  2時 55分
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(StellaNavigator11/AstroArts.にて)

13日深夜が今年最大の満月となるスーパームーンです!!
新月前後数日は月明かりの影響が少ないので純粋に星空を楽しむには良い時期になります。星見に出かける計画を立てるときにはこの頃がお奨めなので毎月新月の日はチェックしておきましょう!
会津での7月の日の出、日の入り時刻を先月の6月と比べてみると以下のようになります。
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月   日   薄明始まり      日の出        日の入り       薄暮終了
6月  1日  2時 31分    4時 18分    18時 58分    20時 46分
7月  1日  2時 29分    4時 20分    19時 08分    20時 59分
7月 31日  3時 00分    4時 41分    18時 52分    20時 33分
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(StellaNavigator11/AstroArts.にて 会津若松市での時刻)

6月に夏至を過ぎましたので7月に入ってからは少しずつ昼の時間が短くなりつつあります。
まだ1日毎の変化は少ないですが夜の時間がちょっとだけでも長くなってくれるのは星好きとしてはうれしいですね!

それではそろそろ2022年7月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 7月 6日(水) 夕方の月に月面Xが見える!

6日夕方、18時前後に月面Xが見られるようです。
これはちょうど欠け際にある数個のクレーターの高く残った縁に太陽の光が当たり始めるときにだけちょうどアルファベットの「X」の形に見える現象で実際に形がわかりやすく見えている時間も1時間前後ほどで特に今年は好条件で見られる回数が少ないので是非見ておきたいですね!「X」の形は小さいので見るには望遠鏡が必要ですが、望遠レンズで月を撮影して拡大すれば何とか形がわかりますのでお試しください!
この時の月は半月の少し前ですが欠け際のクレーターが見やすいのでゆっくり眺めてみたいものです。

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☆ 7月 7日(木) 上弦の月!

今月は7日 11時14分に上弦の月を迎えます。
ですがこの時間だとまだ会津では月は見えていません。会津からの月の出は11時51分なので昼過ぎくらいに東の低い空を見ると白い半月が見つかるはずです。まだ空の明るさが残っている20時頃に双眼鏡を月に向けると半月の左下にポツンと明るい星が見つかるはずです。月との間隔は6度くらいなので視界の端の方になります。この星はおとめ座の1等星スピカです。別名「真珠星」とも呼ばれる美しい色の星なので双眼鏡をお持ちの方はじっくりと確かめてみて下さい!

ところで、7月7日といえば皆さんすぐに「七夕」って思い浮かぶかと思いますが・・この七夕は本来は今で言う旧暦の暦を使った時の7月7日になります。旧暦の場合では新月の日を月初めの1日としているので七夕は毎年必ず7日月が夜空に見える訳です。七夕伝説にもいくつか違ったお話しが伝わっていて、お話しのひとつには低くなった月を天の川を渡る渡し舟と見ていた地域もあったようです。今のカレンダーにも旧暦の日付が小さく書いてあるものもありますので今年の本当の七夕はいつなのか是非確かめてみて下さい!

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☆ 7月 10日(日) さそり座の頭にある2等星が月に隠される!

10日22時過ぎにさそり座の頭にあるδ星ジュバ(2.3等星)が月齢11.4の月に隠される星食が会津からも見られそうです。
満月の4日前ですが、今回は2等星の星食なので双眼鏡があれば十分観察できそうです。

会津から見た時の予報時刻は以下になります。
潜入:22時11分(高度25度)
出現:23時26分(高度17度)

見る場所によって多少時間に違いが出るので少し余裕を持ってスタンバイしておくのがお奨めです。
また、ちょっと早めの時間(21時30分頃)に双眼鏡で眺めておくと月の左側にポツンと星が見えていて、時間と共に少しずつ星が月に接近して行く様子を楽しめそうです。特に月の欠けている部分にスッと消える様子はなかなか見応えがありますのでしっかり見ておきたいものです。
今回のように比較的明るい2等星の星食はあまり多くないので少し高度が低くなりますがお天気が良ければ出現する様子も見ておきたいですね。今回の星食は会津から見ると月のほぼ真ん中近くを通っていくので出現するときも月の真ん中付近に注目しておくと良さそうです。

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☆ 7月 14日(木) 満月 & スーパームーン!!

今月は14日 3時38分に満月を迎えます。
13日の深夜なので日付を間違えないようにご注意ください!今年1年で地球と月の距離が最接近となるのが7月13日18時6分になるそうです。そのあと9時間過ぎに満月となるので2022年の中では最大の満月となるようです。

国立天文台のサイトにもスーパームーン関連の情報がありますのでご覧ください!
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2022/07-topics02.html

今年1月18日の満月が2022年最少でしたが、その時に撮影できた方はぜひ今回のスーパームーンを撮影して実際の画像で並べてどれくらいの違いがあるのか大きさの比較をしてみて下さい!
今月の月は満月になる前、会津では13日23時39分頃に月が真南に見えます!
上に書いてある地球と月の距離の最接近というのはそれぞれの中心間距離になるわけですが、私たちは地球という星の表面で生活しているので月が真南に来た頃が月の表面と月を見ている私たちの距離が最も近くなります。お天気が良ければこのタイミングでも撮影して見ても面白そうですね。

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☆ 7月 15日(金) 月齢16の月と土星が接近!!

15日の22時頃に南東の低い空で月齢16の明るい月と土星が左右に並んだ様子が見られそうです。
月は昨日満月を迎えたばかりなのでかなり明るいですが、月と土星の間隔が7.2度程と程々のため、月の左斜め上に0.5等の明るさで落ち着いた色の土星は肉眼でも見つかるはずです。
土星は今現在やぎ座のしっぽ付近に見えているのですがこの夜は月を目印にすれば土星がすぐにわかりますので是非捜してみて下さい!
双眼鏡では残念ながら環までは見えませんが少しクリーム色っぽい独特の色合いを覚えておけば次からは比較的簡単に見つけることが出来そうです。22時頃だと月と土星の間隔は双眼鏡で一緒に見るには広すぎますが、時間と共に少しずつ間隔が接近して16日の夜明け前の2時半過ぎには5.7度まで近くなるのでこの頃にまた双眼鏡で見てみるのもお奨めです。

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☆ 7月 18日(月) 月齢19の月と木星が接近!!

18日の深夜、23時頃に東の低い空で月齢19の月と木星がほぼ同じくらいの高さで並んだ様子が見られそうです。
木星がー2.6等と明るいので低空でも雲さえなければ肉眼で月と木星が並ぶ様子が楽しめそうです。こちらもこの時間だと両者の間隔は7.3度程あるので双眼鏡で一緒に見るにはちょっと離れていますが時間と共に間隔が近づいて薄明が始まる2時45分頃には5.7度くらいまで接近するのでこの頃に双眼鏡で見てみたいですね!木星の周りを回っている比較的明るいガリレオ衛星は空が暗い時間帯なら双眼鏡でも見つかるので捜してみて下さい!

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☆ 7月 22日(金) 月齢22の月に火星が隠される!! 月の右横から出現する火星を見よう!

21日深夜には月齢22の月に火星が隠される火星食が見られます!!
但し、火星が月に隠される時間は会津では21日23時37分頃なのですが、残念ながらこの時間だとまだ月が地平線ぎりぎりなので隠れるところは見られません。代わりに火星が再び見えて来る出現の方は月の高度が8度程になるので双眼鏡があれば十分に観察できそうです。月の欠けている右横(真ん中よりやや下側)から火星が再び見えて来る予報時刻は会津では22日0時20分頃になるようです。見る場所によっても多少の時間差があるので少し余裕を持って待ち構えておく方が良さそうです。今回の火星食は少し低空ですがなかなかお目にかかれない珍しい現象なのでしっかり見ておきたいですね!火星が出現してもしばらくは月のすぐそばに見えていますので双眼鏡や肉眼でも楽しめそうです。

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☆ 7月 23日(土) 夜明け前の空で細い月がすばるに接近!

23日の夜明け前、月齢24の細くなった月がおうし座の散開星団すばるに接近します。
但し両者の間隔は約7度弱なので一般的な双眼鏡だと一緒に見るにはぎりぎりかもしれません。なのでなるべく薄明が始まる前(2時50分)にもっと低倍率の超広角双眼鏡か肉眼で見るのが良さそうです。こちらは200mmクラスの望遠レンズで接近した様子を狙ってみるのも良さそうです。薄明が始まって3時半頃には冬の星座のオリオン座も東の空から昇って来るのでふたご座にある金星と一緒に捜してみて下さい!

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☆ 7月 27日(水) 明け方の空で金星と細い月が接近!

27日の夜明け前、東北東の低い空では月齢27.6のかなり細くなった月と金星が4.3度程まで接近した様子が見られそうです。
今回の接近では細い月は金星の左隣で、ほぼ同じくらいの高さになりそうです。7月末のこの頃だと薄明が始まるのが2時55分頃ですが、この時間ではまだ月と金星がまだ昇って来たばかりなので見頃の時間は3時20分~40分頃になりそうです。もちろんなるべく低い空まで見渡せる場所なら昇って来たばかりの並んだ様子は見逃せませんね!
金星は明るいので肉眼でも大丈夫ですが、細くなった月は薄明が始まってしまうと見えにくくなってしまうのでやはり双眼鏡があったほうが良さそうです。今回の接近は双眼鏡で楽に一緒に見られる近さなので明るい金星とだいぶ細くなった月の美しいツーショットをじっくり眺めてみたいものです。。そして薄明が始まって空の色が変わっていく中で同じ月や金星も見た印象がどんどん変化して行く様子もお楽しみください!

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☆ 8月 2日(火) 夜明け前の空で火星と天王星が最接近!!

8月2日夜明け前の空で火星のそばに天王星が接近した様子が見られそうです。
火星は現在はおひつじ座のしっぽ付近に見えていて、夜明け前なら肉眼でも火星特有の赤っぽい色合いですぐに見つかるはずです。下の星図は8月2日3時の星空になります。この時間ならまだ薄明が始まるちょっと前なので双眼鏡を使えば6等星の天王星も見ることが出来るはずです。

火星の明るさは0.2等星、そして火星の左上には6等星の天王星(矢印左)が1.3度まで接近しています!
下の星図で丸い円は双眼鏡の視界(7度)を表しているので最初に火星を捉えた後視界の中の星並びを参考にして天王星を見つけて下さい!最接近は8月2日未明ですが10日頃までは双眼鏡を使って火星と一緒に見ることが出来ますので何度かトライすれば火星と天王星の位置関係が変わっていく様子も捉えられるはずです。視界の中の星の並びをスケッチしておくと次に見た時に比較しやすいのでお試しください!