2023年8月6日に当会会員の薄 謙一さんが御逝去されました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
当会とは2011年年初からのお付き合いでしたが、高校時代からのご友人・堀金弘道さんからのお言葉で皆様に薄さんを知っていただきたいと思います。
また、会津藩校の遺構、日新館天文台跡の日本天文遺産認定は、日新館天文台跡保護推進プロジェクトの会長として薄さんの精力的な活動の賜物です。薄さんが最後になさった小惑星「Aizunisshinkan」命名イベントのお知らせがありますので、ぜひ最後までお読みください。
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「いつかその日は来るだろう」とは思っていたものの、8月6日午後、ご家族からお電話いただいた時点で、刻が止まったかのようだった。翌朝目を覚ましても、まだ日曜日のような気がするのだ。そして今度こそ何事もない日曜の夜を迎え、いつも通りの普通の翌日が来るんじゃないか、と。あれから一週間が経ち、ようやく「彼はその苦しみから解放されたんだ」とようやく気付いた。いや、そう理解しようと努めている。
高校に入って初めて地学部の部室の扉を叩いたとき、狭く細長ーーい部室の一番奥に座していたのが、彼だった。プロレス好きでオフコースとチューリップを愛し。心優しく笑顔絶やさず。人の悪口は決して言わない。人当たりが上手い上に物怖じしないので、県内外の天文愛好者との間に築いた交流の輪はどんどん拡がり、加速度的にそのパイプを太く広くしていった。
個人的には流星や古天文学分野の研究を継続し、同時に会津天文同好会の会長として天文普及活動を展開していた。当時の主な活躍は次の通り
1998年夏
6月うしかい座流星群の突発活動を、国立天文台に報告。
1998年夏
福島県天文同好者の集い、会津大学で開催。
1999年春
猪苗代にて第29回彗星会議を実行委員長として切盛り。
2002年春
2001年度日本天文学会天文功労賞受章。
日本天文学会の天文功労賞受章は、71年振りと言われる活動を見せた6月うしかい群(当時の呼称は「ポン・ウイネッケ流星群」)の突発活動を報告した功績を称えられたものであった。
そして2011年1月、会津そらの会の『HBTTE』上映会をお手伝いしたのが、そらの会とのお付き合いの始まりだった。
2014年春の難病発覚からは、入退院を繰り返しながらも精力的に活動を続け、会津藩校日新館の天文台跡を、日本天文遺産登録第一号へ導いた。そして更にはユネスコの世界天文遺産へ押し上げる。そんな大きな夢を抱いたまま、宇宙へと旅立ってしまった。
今にして思えば。
とにかく、企画力と行動力の塊だったわけだが、「余命2年」の宣告を受けてから、更に張り切っていたのだろうか。日新館天文台跡の遺産登録に向けた活動は、まだ認知度の低かったこの史跡を周辺住民に知らしめることから始まり、自治体に働きかけつつ地元町内会の保存会を立ち上げるに至り、日本天文遺産登録を勝ち取った。次のステップとして世界を目指すために、自治体への働きかけを増やそうとした。
そんな最中の、訃報であった。
文字通りそれは、命を賭しての活動だったのだろうか?
いや飽くまでも、自分の夢は必ずかなうと信じていた中でのアクシデントだったのだと思いたい。
訃報から間もなく1週間。
そっちはどうだい?藤井さんや、猪木にゃ会えたかな?
もしかすると、ガリレオももう友達かもしれない。
最後に、薄よ。
長きに渡った闘病生活、お疲れさま。
この十年の苦しみから解放され、新たな友達を見つけに、元気に飛び回っていることを願いたい。
あなたの魂に 安らぎあれ。(合掌)
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【小惑星Aizunisshinkan命名記念式典】
2023年6月、小惑星に「Aizunisshinkan」の名がつきました。命名式典は9月10日(日)10:00より會津藩校日新館にて開催予定で、国立天文台上席教授 渡部潤一先生による薄 謙一氏追悼記念講演、小惑星発見者・渡辺和郎様から命名証明書贈呈、市長からのお礼の色紙贈呈などが行われます。
小惑星命名の経緯は、「会津日新館天文台跡」日本天文遺産5周年を記念し、日新館天文台跡保存会副会長の薄さんが、知人である渡辺和郎様に命名権を譲っていただくお話から実現。今回の命名式典も日新館天文台跡日本天文遺産認定5周年記念事業として薄さんが計画を進めていたものです。
薄さんは会津そらの会の大事なメンバーでした。当会は式典の応援に一部費用の負担とスタッフとしても参加いたします。そのうえで諸費用の不足が見込まれるため、保存会様に代わり金銭的物的ご支援を呼びかけさせていただきます。薄さんの最後のお仕事を応援したく、お志ある方は是非ご連絡くださいませ。
「小惑星命名式典寄付の件」のタイトルで aizusoranokai@gmail.com へお名前と金額をお知らせのうえ当会口座へお振込みをお願いします。東邦銀行 会津若松市役所支店 普通128637 会津そらの会代表 成田美紀(ナリタミキ)
賛同者様全員のお名前と金額は当会HPにて公表し、日新館天文台跡保存会様にお渡しし受領書をいただき、再度アップさせていただきます。※9月8日(金)までに着金するようお手配いただければ幸いです。
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個人的な薄さんとの思い出。。素人の思い付きの活動を一緒にやってくれませんかとお誘いしたところ快諾してくださったのを今でも覚えていますが、薄さんの経歴を知って後から恐縮。様々な助言に色々勉強させていただき、ご自身の人脈で沢山の方と繋げていただいたこと等、本当に奇跡のような出会いだったと思っています。そらの会の思い出の全てに薄さんがいて、今はとてもさみしいです。
「次の金環日食は2030年、見に行きたいな」「会津から宇宙飛行士が出ればいいな」
薄さん、金環日食は一緒に見られなくなったけど、宇宙飛行士誕生はこの先まだわからないから楽しみにしていてね。人生に様々詰め込んで旅立たれた薄さん。どうかゆっくりとお休みください。出会ってくれて本当にありがとうございました。遠く時の輪の接するところでまたいつか。。(O)
日新館天文台跡記念事業0904
日新館天文台跡記念事業0904