2023年も5月を迎えました。
この時期は比較的天候も安定して過ごしやすい時期になるので星を眺めるにも良い季節です。先月末から始まっているGWで既に旅行などで遠出をされている方もあるかもしれません。毎年同じ時期には決まった星座が夜空に見られますが見る場所が違うとそれだけでもだいぶ印象が変わって見えることも多いので遠出された時には昼の時間だけでなくぜひ夕方から夜の空にも目を向けてみてください!
特に夕方の空で眩しいほどの輝きを放っている宵の明星の金星は日没後の空が薄暗くなってきた時間帯での見える高さは今シーズン中では5月4日前後が最も高くなって見やすい時期を迎えます。この頃だと金星が地平線に沈む時刻も22時を過ぎるので夕方に見え始める頃、空の明るさがまだ少し残った頃の時間帯、そして空が暗くなった頃、金星が低い空に見える時間帯、更には金星が遠くの山に沈んでいく様子なども機会があればぜひ見ておきたいところです。
また、5月初めの金星は望遠鏡で拡大すると半月よりちょっと膨らんだような形に見えます。それが今月末頃にはほぼ半月状の形になり、見かけの大きさも徐々に大きく見えるようになってきます。そういった形の変化も金星を眺めた時の面白さになります。今月もまだ会津そらの会での星を見る会は残念ながら再開未定ですが金星のそんな美しい姿を見てみたい方は、ぜひ、あぶくま洞の横にある星の村天文台へおでかけ下さい!
早めの時間帯でしたら金星の姿も大きな望遠鏡で見られるはずですので。GW中は土曜日以外にも開催するようなのでお天気をチェックして良さそうな日に出かけてみて下さい!
https://www.city.tamura.lg.jp/life/3/40/139/
こちらを確認してみたらGW中は予約は不要になっていました。出かける前に電話で天文台のお天気を確認してみて下さい!GW期間中の天文台は混雑が予想されます。ゆっくり見てみたい方は1週間ずらしたほうが良いかもしれませんね。そしてせっかく夕方の金星が見頃を迎えているのでこのチャンスに皆さんがお持ちのスマホのカメラで夕暮れの景色の中に明るい金星が輝いている様子を撮影してみましょう!ポイントはまだ空の明るさが少し残っている時間帯に撮影することです。この時間帯ならカメラのオートフォーカスも有効で、景色と一緒に写せるのは写真としても見栄えがしますから。暗くなってからだとピンボケや真っ暗い中に金星だけが写る寂しい写真になりがちなので。手ブレに気をつけながら画角を変えて色々と試してみましょう!
5月になってくると空が暗くなる20時頃には冬の星座たちも西の空へ次第に沈んでいく様子を見ることが出来ます。
その中には明るい金星、そして次第に暗くなってきている火星の姿もまだふたご座の中に見られますのでお天気の良さそうな夜に西側の方向が開けた場所でぜひ眺めてみましょう!!下の画像は5月3日20時頃に会津から西の方角を眺めた時の星空になりますので参考にして下さい。
GW中の天文現象としては6日にピークを迎えるみずがめ座流星群もあります。今年は惜しいことに6日が満月なので月明かりの影響が大きいですが流星群が見えてくる2時頃から夜明けの頃には月が西の方にあるのでみずがめ座のある東の空をメインに広く眺めていればまだチャンスはありそうです。
そしてその月が満月を迎える6日未明には半影月食があります。
普通の月食なら欠けた場所が徐々に変わっていく様子が肉眼でもわかりますが今回の半影月食ではパッと見た感じでは月の眩しさが普段の満月よりも控えめくらいかな??といった感じですが双眼鏡などでゆっくり眺めると部分的に明るさの違いなどもわかりますので時間によって明るさの変化が楽しめたら面白そうです。
そういえば先月20日の皆既日食ではYou Tubeでも現地からのライブ中継がありました。まだご覧になっていない方はこちらをどうぞ!https://www.youtube.com/watch?v=yn13nJRylmA
この時の日食では石垣島天文台からのライブ中継も行われていました。
https://www.youtube.com/watch?v=sH-zrpndKkQ
こちらでは部分日食でしたが日食についての解説もありますのでぜひご覧ください!次回、会津から見られる日食は2030年なのでしばらく先のことになりますね!
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☆はやぶさ2関連情報
☆JAXAはやぶさ2ミッショントップページ
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/
こちらにあるはやぶさ2関連のニュースでは運用状況報告やはやぶさ2壁新聞などもありますのでぜひチェックしてみて下さい!
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/news/
https://twitter.com/haya2_jaxa
はやぶさ2が小惑星りゅうぐうから持ち帰った貴重なサンプルからはこれまで全くわからなかったような大きな発見が多数もたらされましたが、そこからまた新たな謎も見つかっています。今年9月にはNASAの小惑星探査機オシリス・レックスが小惑星ベンヌからのサンプルを地球に届けてくれる予定です。別の小惑星のサンプルと比較することでまた新しい成果も見つかる期待もありますので今後も注目して行きたいですね!
毎日新聞ニュース 4月19日
https://mainichi.jp/articles/20230417/k00/00m/040/153000c
yahooニュース 4月21日
https://news.yahoo.co.jp/articles/dab4dc2a6baa2c55cdee6a5f9def9cf9c4b3ceb0
日経サイエンス 6月号の記事紹介
https://www.nikkei-science.com/202306_054.html
アストロアーツ 先月観測されたはやぶさ2が向かう小惑星の掩蔽結果について
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13002_2001cc21
はやぶさ2の過去の話題を振り返りたい方向けにどうぞ!
毎日新聞 はやぶさ2特集
https://mainichi.jp/hayabusa2
はやぶさ2の旅は次の小惑星観測を目指してまだまだ続きます。
一緒に応援していきましょう!!
「頑張れ! はやぶさ2!!」
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2023年5月の月の満ち欠けは以下のようになっています。
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6日(土) 満月
12日(金) 下弦
20日(土) 新月
28日(日) 上弦
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新月前後の数日間は月明かりの影響が少ないので純粋に星空を楽しむには良い時期になります。星見に出かける計画を立てるときにはこの頃がお奨めなので毎月新月の日はチェックしておきましょう! 今年の場合はGWの時期には惜しいことに月が明るい時期にちょうど重なっていますね! 星見の遠出は1週間ほどずらしたほうが良さそうです。
会津での5月の日の出、日の入り時刻を4月と比べてみると以下のようになります。
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月 日 薄明始まり 日の出 日の入り 薄暮終了
4月 1日 3時 58分 5時 25分 18時 05分 19時 32分
5月 1日 3時 08分 4時 44分 18時 32分 20時 08分
5月31日 2時 32分 4時 19分 18時 57分 20時 45分
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(StellaNavigator11/AstroArts.にて 会津若松市での時刻)
6月には夏至を迎えますので5月でもだいぶお昼の時間が長くなってきています。仕事帰りの夕方もなかなか暗くならないって感じることも多くなって来る時期ですね!それにともなって星が見える時間が少なくなってきますので貴重な晴れ間は夜更かししがちになりますね。くれぐれも寝不足にならないようにお過ごしください!
それではそろそろ2023年5月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 5月 1日(月)~月末 夕方の空で輝く金星を見つけよう!!
今月も夕方の西空では宵の明星と呼ばれる金星が見やすい状態が続きます!!
夕方、日が沈んでからの金星の見える高さは今年中では5月4日頃が最も高くなるのでこのチャンスに周りの方にも夕方の空に見えている金星のことを教えてあげてくださいね!意外と「何か明るい星が見えているけれど・・一体何かな??」とか「あれってもしかして金星なのかな??」等と思っている方も多いので。あの星が何かっていう正体がはっきりわかったほうがそこからまた星や宇宙への関心を持つきっかけにもなりそうですので。
あの金星、秋から冬にかけての空の透明度が良い時期だと実はお昼の青空の中でも肉眼で見ることが出来たりします。春は黄砂などの影響で見えにくいことも多いでしょうけれどタイミングよく雨上がりの時などで夕方の空で意外と早目の時間から見つかるときもあります。皆さんの家の近くで金星が見えそうな場所を探しておいてぜひ一番星探しをやってみて下さい!金星の見える方角に目立つ遠くの目印になるようなものがあると捜す時にあまり迷わずに見つけられそうです。ぜひ何度かチャレンジしてみて下さい!
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☆ 5月 6日(土) 夜明け前の満月&半影月食!
今月は6日未明の2時34分に満月を迎えます。
実際には5日夕方に見える頃には肉眼だとほぼ満月の状態に見えているはずです。5月の満月は別名フラワームーンとも呼ばれているみたいです。本格的な春を迎えて様々な色の花が見られて華やかな季節に相応しい呼び名ですね!
そして今月の満月は5日の夜半過ぎからてんびん座の中で半影月食を迎えます。
半影月食というとあまり聞き慣れないかもしれませんね。月食という天文現象は地球から見た時には満月が時間とともに地球の影に入っていって欠けていくように見えますが、この時に月から見た場合には太陽が地球によって隠される日食が見えていることになります。月から見た時に日食の始まりは太陽が地球に少しずつ隠されていく部分日食が見えているわけですがこの時の部分日食の時の状態が地球から見た時の半影月食の状態になります。よく見かける月食の図では二重円で半影部分も同じように描かれていますが、実際には影の濃さは外側は薄く、中に行くに従って少しずつ濃くなるイメージですね。月から見た太陽が地球に全部隠されている状態になると地球からは部分月食になり肉眼で見ても欠けた様子がはっきりわかるようになります。このように視点を変えると1つの天文現象もまた違った印象で楽しむことが出来ますので他の場合でも色々と想像しながら考えてみて下さいね
月食の場合では欠けていく時刻はどこから見ても同じですが、その時の月の高度が見る地点によって変わってきます。会津から見た今回の半影月食の時刻は以下のようになります
半影月食 始まり 0時14分 34度
食の最大 2時23分 22度
半影月食 終わり 4時32分 1度
下の図は食の最大となる2時23分での月と地球の影の位置関係になります。内側の円がはっきり欠けて見える本影ですが、今回はぎりぎりそこまで行かずに終わってしまいます。
実際には3時過ぎに薄明も始まってしまいますので半影月食が始まる前と食の最大の頃に双眼鏡で眺めてみて満月の輝き具合の違いを確かめるみたいな感じになりそうです。食の最大の頃に双眼鏡で上の図のように月の上側がほんの少し暗くなっている様子がわかれば良いですね。肉眼だと普段の満月よりも輝き具合が控えめといった感じでしょうか?
眼で見てはわかりにくい半影月食ですがデジタルカメラに望遠レンズで露出加減を少し控えめにして撮影すると地球の影によって月が部分的に暗くなっている様子がわかりますのでお持ちの方はチャレンジしてみて下さい!今年は10月末にももう一度部分月食が見られますが明け方の低い空で少し欠けるだけなので今回の半影月食を見ておくと次回の予習にもなりそうですね。
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☆ 5月 7日(日) 未明の空でみずがめ座流星群が極大を迎える!!
GWの最終日となる7日未明にはハレー彗星を起源とするみずがめ座流星群が極大日を迎えます。
みずがめ座流星群の放射点は下の図のように三ツ矢マークのある水瓶付近(下の図 みずがめ座η”ギリシャ文字:イータ”という文字の左側)にあるのですが・・もともと秋の季節に見やすい星座なので会津で放射点が地平線上に昇って流れ星が見え始めるのは1時半頃になります。そしてそこから薄明が始まる3時頃までの1時間半が流れ星が見られるチャンスになります。今年のみずがめ座流星群はタイミングが悪く極大日の前日が満月となっているのですが2時頃には南南西の低めの空に移動しているのでなるべく月を視界に入れないように背中にして、みずがめ座のある東方面を広く眺めるようにすることで月明かりの影響を少しでも減らして眺めてみましょう!今年の流星群のピーク予報は7日0時頃とされていますがその前後数日間はチャンスなのでお天気が良かったら1時半以降の時間に30分だけでも眺めてみて下さい!みずがめ座の下の方には土星も見えて来ています。土星の明るさは1等星と割と明るいので高度が上がってくればすぐに見つかりそうです。
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☆ 5月 14日(日) 夜明け前の空で下弦を過ぎた月と土星が接近!
今月の月は13日の深夜に下弦を迎えます。
実際には会津での月の出時刻は日付が変わって14日の1時過ぎなので見やすいのは14日の夜明け前の3時頃になりそうです。ほぼ半分の形となった月はみずがめ座の中にあって、月の少し上には約4度程のところには明るい星がポツンと見えているはずです。その星が土星ですよ!これくらいの間隔で、土星も明るい1等星なので上下に並んだ様子は肉眼でも見やすいですね。双眼鏡をお持ちの方はぜひ半月と土星を一緒に眺めてみて下さい!今シーズンの土星は秋から冬にかけて見頃を迎えますので楽しみです。その頃に昨年よりも少し環の傾き具合が少なくなった土星の姿を望遠鏡で見てみたいですね!
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☆ 5月 17日(水) 夜明け前の低い空に見えてくる細い月と木星を見つけよう!
17日の明け方、空が少し明るくなってきた3時30分頃に東の低い空では月齢26.6の細くなった月が見えているようです。
この時の地平線からの高度はまだ5度ちょっとなのでなるべく東の低い空まで見渡せる場所から双眼鏡を使って探してみましょう!同じ細い月でも夕方に見られる月とは欠けている形がまるで違うので見た目の印象も意外と楽しめますよ!そしてこの時には月の左斜め下の低空には木星も見えているはずです。月からは10度近く離れているので一緒には見られませんがようやく姿を見せてきた木星をぜひ探してみましょう!!今年の10月後半頃からは夕方の空でおひつじ座の中で明るく見えて来るはずなので楽しみですね!
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☆ 5月 22日(月) 夕方の空で細い月を見つけよう!!
今月は20日に新月となった月が22日夕方には金星の右下付近に三日月となって見えてきます。
この時の月齢は2.8なのでまだかなり細い月ですね。この時期の低い空にある細い月は普段なら見つけにくかったりしますが今回は夕方の空でもかなり目立っている金星があるので19時30分頃に金星から双眼鏡の視界2個分弱くらい右斜め下付近の空を探してみましょう!実際に見てみると三日月って意外と細い月の形なんですよね。空が暗くなってきた20時頃の様子は周囲の星も見えてくるので更に楽しめそうです!そして翌日23日にはたった一晩で月が金星のそばにまで移動しますので今回と翌日の2日連続で見ておくと月が意外と大きく動く様子も確かめられますので
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☆ 5月 23日(火) 夕方の空で宵の明星と細い月が並ぶ!!
23日夕方には宵の明星となっている金星と月齢3.8の細い月が並んだ景色が見られそうです。
今回の接近では金星と月が2.4度程と比較的近くで横に並ぶように見えるようです。夕方空が少し暗くなってきた19時半頃に西の空で肉眼でも見つかるはずです。そして空が暗くなるにしたがって周囲の星も見えてきてこちらの様子も必見ですね!20時頃になればちょうどふたご座の真中付近で月と金星が並んだ様子がわかるでしょうから街明かりの少ない場所で見ておきたいですね。この時期のふたご座は西の空でちょうど星座の形が良い感じに立っているように見えていますのでその辺も合わせて楽しめそうです
そしてふたご座とその左上のかに座の間には1.5等星にまで暗くなってきた火星も見えています。この時の火星までの距離は約2億9千万kmと地球~太陽までの倍近い遠さになっています。昨年12月初めの頃の接近していた時が約8千万km程でしたからだいぶ遠くなってきていますね。少し暗くなってきても双眼鏡で眺めてみると独特の赤っぽい色はまだまだわかりやすいので月と金星の接近を見た時には忘れずに火星も探してみて下さい!
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☆ 5月 24日(水) 夕方の空で月と火星が接近!
24日夕方には西の空で月齢5の月と火星と並んだ様子が見られそうです。
今回の接近も間隔が5.5度くらいなので双眼鏡でも月と火星を一緒に眺められます。火星の明るさは1.5等星くらいになっているので以前に比べてそれほど目立つ存在ではありませんが今回は月の左側に見えているので空が暗くなってくる20時頃にぜひ探してみて下さい!しばらく見ていないと火星も星座の中を意外と大きく移動しているので時々見て確かめておけると良いですね。近くにある金星やふたご座の明るいポルックス&カストルと一緒に眺めてみると意外と印象的な景色になって眺められそうです。
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☆ 5月 27日(土) 夕方の空の月に月面Xが見られる!!
今月は上弦の前日になる27日夕方に再び月面Xが見られそうです。
月面Xというのは欠け際付近にある複数のクレーターの縁に太陽の光が当たり始めて、その形がちょうどアルファベットの「X」の形が浮かび上がって見えることからこのように呼ばれています。今回の見やすい時刻は16時頃になるようですがこの時刻だとまだ太陽も見えている時間なので望遠鏡を使って見る場合には安全性を考慮して日陰に望遠鏡を設置して見てみたいですね。少し早目の時間ですが土曜日なので望遠鏡をお持ちの方は月に向けてみて下さい!以前会津そらの会でのイベントで作った組み立て式15倍天体望遠鏡でもしっかりしたカメラ三脚に載せてピントをきちんと合わせれば小さいながらちゃんと「X」の形もわかりますので。空が暗くなる頃には周囲にも光があたってXの形は見えなくなってしまいますので16時~17時頃までに確かめてみましょう!
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☆ 5月 28日(日) 深夜に上弦を迎える月!! !
今月の月は27日の深夜、日付が28日に変わった0時22分に上弦を迎えます。
ですがこの時間は会津では月が地平線下にあるので見ることが出来ません。上弦の月は大まかに言ってお昼ごろに東から昇って、夕方に南の空で高く見えていて、夜中に沈んでいくことになるのでなるべく半月に近い状態で見たい場合には27日の夜中がおすすめです。23時頃なら西の空でまだ月の高度も20度近くありますので。この時の月はしし座の胸の付近に見えているはずです。双眼鏡ではしし座の1等星レグルスも月と一緒に眺められるくらいなので見ておきたいですね!
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