画像提供 アストロアーツ http://www.astroarts.co.jp/ 

2022年も早いもので3月を迎えました!
寒さの厳しい時期を無事に乗り越えて、これから少しずつ春に近付いて行くということを感じられる季節でもあります。
今月21日には春分の日を迎えますので目に見えて昼の時間が長くなって来ているのがわかるはずです。そんな3月は名残惜しい冬の星座たちが西に傾いていく様子をぜひ眺めておきたいですね!月初めには空が暗くなる19時過ぎ頃に南の空に見えていたオリオン座も月末には南西の空に移って行きます。ちょっと遅めの時間に眺めると・・いつも見慣れているオリオン座などもこの時期のように西の空に移って行くと・・星座の傾き具合などがこれまでと違って、パッと見た時の印象もずいぶんと違って見えて来ますので!

そして冬の星座が少し西寄りになって来るといつの間にか夜空を駆け上がっていくようなしし座を筆頭に次々と春の星座たちが見やすくなってきます!
多くの方が知っている北斗七星も今の季節だと北東の空で縦になって見えて来るので、そこからひしゃくの先の二つの星を使って北極星探しもしてみて下さい。家のそばで北極星を見つけることが出来たら正確な北の方角がわかるので皆さんの家が東西南北の方角に対してどんな向きに建てられているのかも確かめてみましょう!方角をきちんと確かめておくことで窓やベランダなどから星を眺めるときに役立ちますよ!

そしてぜひ見ておきたいのが明け方の空に集まった惑星たちですね!
2月でも明け方の空では明るい金星が目立っていて、少し離れて火星も見えていました。そして3月前半では金星に火星が次第に近づいていく様子を、そして後半では金星と火星の付近に日毎に土星が移動して行く様子をぜひ追いかけてみましょう!そして、月末近くにはなんと3惑星を同時に双眼鏡で眺めることが出来そうなので今から楽しみです。ぜひ早起きして見ておきたいですね!

毎年4月から11月まで月に1回開催していた会津そらの会での「星を見る会」ですが、今年も新型コロナ感染状況を見ながらになりそうです。
屋外での開催なので感染リスクは低いものの感染力の高い新型変異株も広がって来るとなかなか難しいところもあるようです。望遠鏡を直接覗くと、気流の条件が良ければ下の画像よりも細かい地形も見えて来ます。本当なら大きな望遠鏡で月面の様子なども実際に見て頂きたいところなのですが‥。

そんな中ですが、お隣の宮城県の「名取天文台」さんでは2月にもオンライン観望会を行って配信をされていました。
こちらに2月のオンライン観望会の様子がありますので是非ご覧ください!
名取天文台 お庭で天体撮影 オリオン大星雲&かに星雲

「オンライン観望会」??ってあまり聞きなれない言葉ですよね。
これは今まで普通に会津そらの会で行ってきた望遠鏡を使って星を観察するということをこちらではYouTube配信を使って皆さんは家からパソコンやスマホを使って見ることが出来るというとても便利な方法なんです。日食や月食、流星群の時など大きな天文現象があった時によくライブ配信が行われてきていましたので見た方も多いと思いますが、オンライン観望会はこのライブ配信の観望会バージョンということが出来そうです。実際に望遠鏡のある所に出かけなくても自宅から見ることが出来るので感染防止という観点からも注目されています。
またこの方法では高感度のカメラを望遠鏡に取り付けて短時間での撮影した画像をその場でパソコンを使い画像処理を行う方法によってこれまではある程度大きな望遠鏡を使って空の暗い場所でなければ微かにしか見ることが出来なかったような星雲や銀河などもしっかりと見てもらえるようなメリットもあります。また、場合によっては今回のように途中で雲が多くなってしまった場合でも過去に撮影した天体写真を紹介しながらということも出来そうです。今回は主に星雲や星団の紹介でしたが、アーカイブにある以前の観望会では月や惑星を紹介している動画もありますのでお時間があるときにじっくりご覧ください!
会津そらの会ではこのようなオンライン観望会はまだ行ってはいませんが、色々とメリットのある方法なので今後実現できるかどうか検討して行きたいと思います。

☆はやぶさ2関連情報

☆JAXAはやぶさ2ミッショントップページ
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/

新しいこちらのページでは次のミッションに向けての地球とはやぶさ2,そして目標となる小惑星との位置関係が変わっていく様子もわかりやすくなっています。まだ見ていない方はぜひじっくりとご覧ください!

現在のはやぶさ2は地球を先行して進んでおり、さらに今の軌道では地球よりもずっと太陽に近いところを航行中となっています。
太陽に近ければそれだけ多くの熱を受けることになるのでそれに応じた運用も必要になってきます。こちらに2月に入った運用レポート資料がありますのでご覧ください!
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/news/status/
そういえば先月のニュースでは、はやぶさ2が2026年に近くを通過して観測を行う予定の小惑星「2001 CC21」の撮影に岡山県にあるスペースガードセンターで撮影観測に成功された話題が入っています。
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/20220218_2001_CC21/

小惑星への接近はまだ3年以上ありますが、小さな小惑星にはやぶさ2をうまく誘導するには目的天体の軌道もできるだけ正確に知っておく必要があります。小惑星のような小さな天体は他の惑星等の引力の影響などで軌道も少しずつ変化していきますので今後も継続した観測が行われて行くでしょう。地上からの観測ではどう頑張っても小さな光の点にしか見えない小惑星ですがはやぶさ2が接近してどんな姿を捉えられるか今からとても楽しみですね!

先月には岐阜県と島根県、そして熊本県でもはやぶさ2の帰還カプセル展示が開催されていたようです。こちらのニュースもご覧ください!
「はやぶさ2」採取の小惑星の岩石を地球に届けたカプセルの実物を展示 岐阜県各務原市

宇宙から帰還 小惑星探査機「はやぶさ2」実物のカプセルなど展示(島根・松江市)
はやぶさ2が持ち帰ったカプセルがやってきた【熊本】

はやぶさ2の旅はまだまだ続きます。
「頑張れ! はやぶさ2!!」
これからもみんなで応援していきましょう!

2022年3月、月の満ち欠けは以下のようになっています。
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月相   日 付    時 刻
新月  3日(木)  2時 35分
上弦 10日(木) 19時 45分
満月 18日(金) 16時 18分
下弦 25日(金) 14時 37分
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(StellaNavigator11/AstroArts.にて)

今月は3日が新月なので6日頃までと25日以降ぐらいが概ね月明かりの影響が少ないようです。
明るい1等星が集まっている賑やかな冬の星空をじっくり眺めてみたいですね!月明かりが無ければ冬の大三角の中を流れる天の川も見られます。お天気の良さそうな時に街明かりの少ない場所でぜひ確かめてみて下さい!

会津での3月の日の出、日の入り時刻を先月の2月と比べてみると以下のようになりました。
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 月  日   薄明始まり    日の出      日の入り     薄暮終了
2月 1日  5時 15分  6時 42分  17時 07分  18時 34分
3月 1日  4時 46分  6時 10分  17時 36分  19時 00分
3月31日  3時 59分  5時 26分  18時 04分  19時 31分
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(StellaNavigator11/AstroArts.にて 会津若松市での時刻)

3月21日には春分を迎えます。
暦の上でも春が近いことを感じさせてくれますし、この日を境に夜よりも昼の時間が長くなっていきます。上の表でも2月に比べると夜明けの時間や夕方で暗くなる時間もだいぶ遅くなってきていることがわかりますね!

それではそろそろ2022年3月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 3月 1日(火)~月末  早起きして、金星と火星が次第に接近して行く様子を追いかけよう!!

3月も明け方の空で目立っている金星を追いかけてみましょう!
金星の右下には赤っぽく光る火星も見えていて、今月は次第に金星に近付いていく様子を観察することが出来ます。3月初めには両者の間隔は5度ちょっとですが、今月中旬には4度弱まで近くなります。これくらいの間隔だと双眼鏡でも楽に一緒に眺められますので明るさや色合いの違いをじっくり確かめてみて下さい!
今月は21日に春分を迎えるので夜明けの時間が段々と早くなってしまいますからそれに合わせて起きる時間も調整してみてください!3月初めの頃なら5時以降が見やすそうですが中旬頃には4時半頃、そして月末には4時15分頃が狙い目になりそうです。

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☆ 3月 7日(月) 月と天王星の接近!!

太陽系第7惑星になる天王星が7日夜には月齢4.7の月に1.4度程まで接近するようです。
天王星の明るさは6等星と暗い上に明るい月のそばなので肉眼では残念ながら無理そうです。ですが双眼鏡を使えば月と一緒に見られる可能性があります。下の画像は7日夜19時での月付近の星空になります。外側の丸い円が一般的な双眼鏡の視界の広さ(7度)を表しています。この時、天王星は月の右下付近(矢印先の星が天王星)に見えているはずです。

双眼鏡では手持ちだと微妙な揺れ具合で小さな星が見えにくくなったりするのでカメラ三脚に載せて使うか何か適当な手すりや台に双眼鏡を持った肘を載せておくと手振れの影響が少なくなるのでお試しください!

また、望遠レンズを付けたカメラで月を撮影すれば天王星も一緒に写ってくれそうです。
撮影の場合にはカメラの感度設定を少し上げて、月がちょっと露出オーバー気味になるくらいでいくつか露出時間設定を変えて撮ってみて下さい!望遠レンズだと数秒程度でも多少星が流れて写りますが月との位置関係がわかれば天王星を特定するのは難しくなさそうです。
天王星は6等星と暗めなので普段はなかなか目にする機会はありませんのでこうしたチャンスを生かしてなかなかお目にかかれない天王星を見つけてみて下さい!

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☆ 3月 8日(火) 夕方、西の高い空で月とすばるの接近!!

8日夜にはおうし座の散開星団「すばる」に月齢5.7の月が接近します。
今回の接近では両者の間隔が6.6度程と視界が7度くらいの双眼鏡ではぎりぎりになってしまいますがすばるの星たちが比較的明るいので月のそばでも意外と賑やかな様子を眺めることが出来そうです。また、月とすばるの間隔は21時頃になるともう少し接近するので月があまり低くならない頃にもう一度眺めてみると夕方と少し様子が違うことがわかるはずです。また、月がちょっと明るめですが肉眼でも月の近くにあるすばるが見えるか試してみて下さい!

このように星空を眺めるときにもし近くに家や街灯などの目につく光がある場合には手や帽子(黒っぽい手袋や帽子は手軽で効果的です)、または黒い下敷きや厚紙などを使ってそうした光を遮ると意外と夜空の星が見やすくなることがあります。この時には余計な光を遮ったなら少なくても数分くらいはそのまま夜空を見上げてみて下さい!人間の眼は暗くなると眼の中の光を取り込む瞳が開いて小さな星の光も見やすくなりますが、暗くなってすぐには安全機構?が働いて瞳が開くまでは少し時間がかかります。暗い部屋に入って、最初は足元も全然見えなかったのが5分くらいすると段々と見えて来るのと同じパターンですね。ぜひ実際の夜空でもお試しください!

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☆ 3月 10日(木) 今夜は上弦の月 早めの時間には月面Xも!

今月は10日19時45分に上弦を迎えます。
ですので10日のこの時間に月を眺めればきれいな半分の月を見ることが出来るわけです。半月くらいの欠け具合だと月の欠け際付近の大きなクレーターも双眼鏡でも見つけることが出来ますのでお持ちの方はお試しください!
また、今回は16時頃とちょっと早めの時間になりますが月の欠け際から少し夜に入った部分に小さな「X」の形が浮かび上がって見える月面Xも見られそうです。今年はきれいに見られるチャンスが少なめなのでちゃんと見ておきたいですね。但し月面Xはちょっと小さいので双眼鏡だとちょっと難しそうです。18時頃にはおそらく日が当たってXの形は段々と目立たなくなってしまいそうなので早めの時間に望遠鏡で確かめるのが良さそうですね!

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☆ 3月 15日(火)~17日(木) 明け方の空で金星と火星が最接近!!

明け方の空で見えている明けの明星の金星、そしてその少し右下で赤っぽく光る火星は今月初めの頃から少しずつ間隔が近づいて来ていて、ちょうど15日~17日頃にかけて最も近くになる様子を見ることが出来そうです。
この時の両者の間隔は約4度程なので双眼鏡でちょうど見やすいくらいの並びになるようです。金星はマイナス4.4等星、火星は1.2等星で明るさの差は100倍以上になりますがそうした明るさの違いに加えて色の違いにも注目してみて下さい!今はまだ控えめな明るさの火星ですが今年秋には2年ぶりに地球に接近して夜空で独特の赤みを帯びて夜空でもひときわ存在感を感じさせてくれるはずです。これから地球との距離も徐々に近くなり見かけの明るさも上がっていく様子もぜひ観察してみたいですね!18日以降は金星と火星は徐々に離れていきますが、月末に向けて今度はここに土星が接近して来るので明け方の空でのお楽しみはまだまだ続きますよ!

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☆ 3月 18日(金) 満月!!

今月は18日夕方の16時18分に満月を迎えます。
会津での月の出時刻は18時過ぎにほぼ真東から昇って来るので満月になってから2時間ほどが過ぎていることになります。19時半頃になれば月の高度も20度くらいになって来るので月を眺めるには良さそうです。3月の満月はワームムーンという呼び名もあるそうです。春が近づいてきて虫たちが活動を始める季節ならではの呼び名ですね!ぜひ身近なところで小さな春を捜してみて下さい。

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☆ 3月 20日(日) 明け方の金星が東の空で西方最大離隔を迎える!!

明け方の空で眩しいほどの輝きを見せている金星が20日には見かけ上「太陽に対して、金星が最も西側に離れて見える!」西方最大離隔を迎えます。
下の図のように金星は私たちの地球よりも内側の軌道を回っている惑星ですね。そして内側の軌道を回る金星の方が早く回っているのでこれから金星は地球から段々と離れて行くわけです。地球から金星の軌道へと線を引いて、ちょうど接線となる位置に金星が来ると最大離隔になり見かけ上太陽から最も離れて見えることになります。この時に地球から見た金星と太陽が織りなす角度が46.6度ですね。

ですが今シーズンの金星は地球から見て春の明け方の位置にあるので見かけ上地平線からの高度があまり高くならないのが惜しいところです。

そしてぜひ皆さんに試してみて頂きたいことがあります。
それは・・明け方の金星を見た時、下の図のように空に金星の軌道を想像して眺めてみて下さい!地上からの視点ではなく宇宙から眺めたような視点で眺めていると・・金星が地平線の左下にある太陽を回っている様子が想像できるのでは??と思います。

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☆ 3月 22日(火) 夜半過ぎの空で月にてんびん座α星が接近!

21日の深夜、日付が変わって2時頃に月齢19の月のすぐ上を双眼鏡で眺めると・・そばに3等星のてんびん座α星があって、時間と共に少しずつ位置関係が変わっていく様子が見られそうです。
実はこの時、会津よりももっと南になる大阪よりも南では月に隠されてしまう星食が見られるんです。会津からは残念ながら隠されませんが月のそばでじわじわと動いていく様子は双眼鏡でも楽しめそうです。この時の最接近時刻は2時32分頃になりそうです。ちょうど月の位置も南の空で比較的見やすそうなのでお天気が良ければぜひ見てみて下さい!
てんびん座α星はちょうどひらがなの「く」の字を裏返しにしたような星並びが特徴の真ん中で光っている星になります。(星座アプリなどでてんびん座の形を確かめてみて下さい!)このてんびん座α星は3等星のそばに5等星が寄り添って見える肉眼二重星のひとつです。明るい月が近くになると無理ですが、今度月明かりが無い時に肉眼で2つに見えるかどうかお試しください!

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☆ 3月 23日(水) 明け方の空で金星に土星が接近中!!

明け方の空で明けの明星のそばに火星が見えていましたが、今度はそこに土星が加わり更に賑やかな様子を楽しめそうです。
23日明け方には金星と土星の間隔は6度ちょっとになり、双眼鏡でも一緒に眺められるくらいになって来ます。このあとも日毎に土星は金星に接近して行くのでそうした様子もお天気さえ良ければ追いかけてみたいですね!26日以降になると視界の広さが7度くらいの双眼鏡なら金星と土星、そして火星までもが同じ視野の中に眺められるというかなり珍しい様子もありますので是非お見逃しなく!!

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☆ 3月 28日(月) 夜明け前の空で3惑星と細い月が集合!!

夜明け前の空で金星、火星、そして土星までも集まって見えているその近くに28日の未明には月齢25の細い月までが加わってとても賑やかな様子が見られそうです!!
こちらは必見ですよ!!
月末近くになり、夜明けの時刻が早まって来ているので今回の集合した様子を見るのは4時30分前後がお奨めとなりそうです。今回は3惑星を双眼鏡で一緒に眺めた後、少し視野を右にずらせば火星と月がぎりぎり一緒に入るかなといった感じなので今回の3惑星と細い月の集まった様子は肉眼か小型の超広角双眼鏡で眺めるのが良さそうです。月末になり春が近づいてきて朝の冷え込みも冬の時期と比べればだいぶ過ごしやすくなってきている頃なのでぜひ目覚まし時計をセットして早起きして滅多に見られない月と惑星たちの作る美しい景色をお楽しみ下さい!

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☆ 3月 29日(火) 夜明け前の空で金星と土星が最接近!!

明け方の空でこのところ急速に接近してきていた金星と土星が29日未明の空で2.1度まで近付いた様子が眺められそうです。
このところ見かけ上の土星の動きが意外と早いので毎朝見ていると1日毎に間隔や並ぶ角度が違っているのがわかるはずです。そしてこのあとは今度は土星が火星に近付いていく様子も楽しめます!火星と土星はこの時期だとほぼ同じくらいの明るさですがそれぞれ色に特徴がありますので色がわかりやすいまだ空が暗い時間に双眼鏡でじっくりと見比べてみるのも面白そうです。

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