2021年も11月を迎えました。
早いもので今年も残りあと2ヶ月ですね!
11月になるともう冬の季節到来といった時期ですが、今月は見逃せない天文現象がいくつもありますので寒さに負けずにチャレンジしてみてください!

そのひとつが8日(月)に起こる「日中の金星食」です。
金星が月に隠されてしまう珍しい現象なのですが‥今回は惜しいことに昼過ぎの明るい時間に起こります。日中の明るい空で起こる現象のため、金星が月に隠される様子をしっかり観察するにはやはり望遠鏡が必要になります。ですがこの日の夕方には月から再び姿を見せた金星がまだ月の近くに見えているので久々の月と金星の大接近した様子が眺められそうです。こちらは肉眼や双眼鏡でも十分に楽しめそうで、細い月と眩しいほどの輝きを見せる金星のツーショットはとても美しい眺めになりそうです!!

そして19日(金)には満月になった月が欠けていく部分月食もあります!
今回は部分月食といっても最大食分が0.97と皆既月食に近いくらいまで欠けますので見逃せませんよ!更に月が昇る前に月食が始まっていますので欠けている月が昇って来るという珍しい様子が見られそうです。今年は5月にも皆既月食がありましたがあいにくのお天気で見ることができませんでしたのでぜひともリベンジしたいところです。

他にも月末に向かって木星と土星が次第に金星の方へ接近して行く様子も面白そうなので位置関係が変わっていく様子を追いかけておきたいところです。
木星や土星も南中する時刻がどんどんと早くなってきていて11月初めの頃には土星が17時36分、木星が18時38分ですが、11月末には土星が15時49分、木星が16時54分となるようです。
月末だと土星が20時54分、木星が22時15分には沈んでしまいますのでもし星の村天文台などの天文台へ出かけて巨大な望遠鏡で木星や土星を見てみたいという方はなるべく早い時期がお奨めです。特に今シーズンの土星は環の傾き具合のバランスがちょうど良い時期ですのでまだ今年土星見ていないという方は是非1度皆さん自身の眼で確かめてみてください!

11月に入ると東の空からは段々と賑やかな冬の星座も昇ってきますので肉眼や双眼鏡で眺める楽しみも増えてきます。
冬を代表する星座のオリオン座が見えてくる時間も11月初めでは21時20分頃ですが月末には19時20分と1ヶ月で2時間も早くなります。オリオン座のベルトにある三ツ星は東の空から昇って来る時にはうまい具合に3個の星が縦に並んで昇ってきます。そんな様子もぜひ条件の良い今月のうちに見ておきたいところです。しっかりと寒さ対策をして美しい星空をゆっくりと楽しんでみてください!

☆イベント情報

11月20日(土)、郡山市ビッグパレットにて「ロボット・航空宇宙フェスタふくしま2021」が開催されます。
https://www.robotfesta-fukushima.jp/
こちらは参加無料ですが上のHPから事前登録が必要になります。

会津そらの会では「手のひらサイズの土星模型」を作るワークショップを開催予定です。先着200名限定となりますのでご希望の方は早めにご来場ください!

☆国際宇宙ステーション情報

先月26日のニュースで今年4月から国際宇宙ステーションに長期滞在を行っていた星出宇宙飛行士の地球への帰還日程が発表されました。
帰還は11月5日になるようです。国際宇宙ステーションは太陽電池パネルを含めた大きさがサッカー場ほどもある大型の施設ですので夕方や明け方に見えるときには木星ほどの明るさでゆっくりと夜空を移動していく様子を見ることができます。
国際宇宙ステーションがいつ見やすいかなどの情報は下記のサイトに詳しい予報がありますのでお住まいの地域を選んで予報時刻の少し前から捜してみてください!
https://lookup.kibo.space/
中ほどにある「きぼうを見る場所を選択」でお住いの場所を選べば見やすい日がわかります。宇宙で頑張っている星出宇宙飛行士をみんなで応援していきましょう!

☆はやぶさ2関連情報

先月、JAXAはやぶさ2ミッショントップページが新しくなりました。
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/

新しいページでは次のミッションに向けての地球とはやぶさ2,そして目標となる小惑星との位置関係もわかりやすくなりました。まだ見ていない方はぜひじっくりとご覧ください!

はやぶさ2は拡張ミッションに向けて順調に運用中のようです。時々更新されますのでこちらも忘れずにチェックをしてみて下さい!
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/news/status/

☆「はやぶさ2のはるかな旅 史上初の挑戦とチームワーク」
先月18日、小学館よりはやぶさ2に関する新しい書籍が発売となりました!
日本の宇宙開発からはやぶさ、そしてはやぶさ2ミッションへと続いた歴史、はやぶさ2を支えた多くの研究者や開発秘話などがたくさん載っていますので是非ご覧になってみてください!
https://www.shogakukan.co.jp/books/09259183

☆アメリカ航空宇宙局(NASA)の新しい小惑星探査機「Lucy」
https://sorae.info/space/20211021-nasa-lucy.html

10月16日に打ち上げが行われた小惑星探査機「Lucy」は打ち上げから12年もの長期ミッションで木星のトロヤ群と呼ばれる小惑星群に向かい、一つの探査機で合計8個もの観測を行う計画になるそうです。
太陽系の小惑星にははやぶさやはやぶさ2が探査した小惑星イトカワ、りゅうぐう以外にもいろいろなタイプが存在し、太陽系が形成された頃の貴重な情報が未だに保存されているものがあるとされています。こうした様々な種類の小惑星の探査を行うことで太陽系の歴史や地球上での生命誕生の謎に迫れるかもしれません。

☆NASAの小惑星探査機「DART」(早ければ11月下旬に打ち上げ予定)
https://sorae.info/space/20211025-nasa-dart.html

こちらは小惑星の探査ではなく将来地球に衝突するような小惑星が発見された時に備えて、既知の小惑星に探査機を衝突させて軌道を変化させることが可能かどうかの実証実験になるようです。はやぶさ2では小惑星りゅうぐうにインパクターをぶつけて新たな人工クレーターを生成する実験を行いましたが「DART」では探査機そのものを小惑星に衝突させるようです。どのような結果が出るのか楽しみですね。

☆「科学者と法学者が語るこれからの宇宙開発」
はやぶさ2ミッションのプロジェクトリーダーを担当された津田さんが登場されています。
https://japan.cnet.com/article/35178555/

☆毎日新聞ニュース「はやぶさ2が持ち帰った石とは」
https://mainichi.jp/articles/20211008/k00/00m/040/266000c

はやぶさ2の旅はまだまだ続きます。
「頑張れ! はやぶさ2!!」
これからもみんなで応援していきましょう!

2021年11月の月の満ち欠けは以下のようになっています。
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 5日(金) : 新月
11日(木) : 上弦
19日(金) : 満月 & 部分月食!!
27日(土) : 下弦
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今月は7日頃までと29日以降ぐらいが概ね月明かりの影響が少ないようです。
月明かりが無ければまだまだ天の川も見やすい時期なのでお天気が良さそうな日を狙って街明かりが少ない場所にちょっと出かけて秋の美しい夜空を見上げてみて下さい!

会津での11月の日の出、日の入り時刻を先月の10月と比べてみると以下のようになりました。
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月  日   薄明始まり   日の出     日の入り    薄暮終了
10月 1日  4時09分  5時33分  17時26分  18時51分
11月 1日  4時36分  6時02分  16時45分  18時11分
11月30日  5時02分  6時32分  16時26分  17 55分
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(StellaNavigator10/AstroArts.にて 会津若松市での時刻)

12月には冬至を迎えますので11月でもだいぶ昼の時間が短くなってきています。
夕方暗くなる時間も早くなってきていますので仕事帰りの時間でもだんだんと星が見えて来て楽しめそうですね!

それではそろそろ2021年11月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 11月 3日(水) 準惑星ケレスがおうし座のアルデバランに大接近!

11月に入ると冬の星座たちも割と早めの時間帯から東の空で見えるようになってきます。
3日夜、21時頃には東の空からオリオン座も姿を見せてきます。そのオリオン座の少し上にはお誕生日の星座のひとつ「おうし座」があります。

おうし座にはアルデバランと呼ばれる赤みを帯びた1等星が目を引きますが、その見つけやすいアルデバランに準惑星の一つであるケレスが3日夜には約0.1度までの大接近となるようです。
ケレスは火星と木星の間にある小惑星帯を回る直径約1,000㎞程の天体です。小惑星として最初に発見された天体ですが2006年の冥王星が準惑星に降格した際にケレスは逆に小惑星から準惑星に昇格した形となりました。この機会に「準惑星ケレス」を検索して色々と情報を知ってからから実際に見てみるとより楽しめそうです。

普段はなかなか見つけにくいケレスですがこの時には1等星のアルデバランがとても目立つ目印になってくれそうです。ケレスの明るさはこの頃ですと7.5等とちょっと暗めなので肉眼では無理ですが望遠レンズを付けたカメラだと意外と写ってくれますのでお持ちの方はお試しください!最接近の3日だけでなく前後で撮影しておくと日毎に左下から右上に移動していく様子も見つけられそうですので。

下の図はアルデバラン付近のアップで中央の円が望遠鏡の視界で1度になります。
中央にあるのが1等星のアルデバラン、そしてその少し右下で光っているのがケレスになります。
望遠鏡で拡大しても随分と近くに見えそうです!双眼鏡でも手振れなどをしないようにすれば見える明るさなので回りの星の配列を確かめて探してみてください!

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☆ 11月  7日(日) 夕方の空で見えてきた細い月と金星を見よう!!

7日夕方には南西の空で宵の明星の金星と月齢2.5が約13度ほど離れた様子が見られそうです。
8日には金星食がありますが1日前に見ておくことで月と金星の位置関係が一晩で意外と大きく変化する様子を実感することができるチャンスです。
17時30分頃になれば次第に空の方も少しずつ暗くなり始めて来て濃い色に染まった美しい空の中で一緒に肉眼でも楽しめそうです。こちらもスマホかスケッチを残しておきたいですね。双眼鏡では一緒に見ることはできませんが、それぞれ金星の眩しい姿とまだかなり細い月の形が印象的でしょう!

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☆ 11月  8日(月) 日中の空で金星食! 夕空でも大接近のツーショットが見られる!!

8日の午後から南南東の空で金星が月齢3.3の細い月に左下から隠され、約1時間後には再び月の右下側から出現する金星食が見られます。
日本から好条件で見られる金星食としては2012年以来のとても珍しい現象となります。会津から見られる時刻等を出してみると以下のようになります。

潜入時刻 13時44分 (高度 24度)

出現時刻 14時41分 (高度 25度)

上の事項は会津若松市で計算してありますが、市内から離れると多少時刻が変わりますので潜入、出現とも多少時間に余裕を持って見ておいた方が良さそうです。
特に潜入の時には月や金星を見つけるのに手間取ってしまう場合も考慮して早めに準備をしておくのが安心です。それと早めに見つけておくことで少しずつ金星と月が近づいていく様子も楽しめますので。
更に金星が月に隠されるのは月の左側で実際には月の縁が見えませんのでタイミングをなるべく見逃さないように見ておきたいものです。また、実際には金星の見かけの大きさがありますので月に隠れ始めてから見えなくなるまでは約2分ほどかかります。望遠鏡を使えば金星が少しずつ隠れていく、あるいは出現して来る様子が楽しめそうです。

下の図は13時44分の太陽と月、金星の位置関係になります。
昼の空での月を見つけるときの参考にしてみてください!(方位、高度ともに1マスは10度になります)
昼の空で月を捜すにはまず日陰に入って行うようにして下さい!
双眼鏡で空を捜しているときに間違って太陽を見てしまうのはとても危険ですし、日陰から見た方が太陽からの直射光が無い分多少見やすくなります。

そして金星食が終わっても今回はまだまだ見逃せませんよ!
夕方の空でまだそれほど月から離れていない金星と細い月のツーショットの方が注目を浴びそうです。注目は夕方、肉眼でも月や金星が見やすくなってくる17時以降が狙い目になります。この時間帯でも月と金星の間隔は17時で約1.1度、17時30分でもまだ1.3度程なのでこのくらいの時間帯で肉眼や双眼鏡ではそばに並んだ様子が見事な美しさを見せてくれそうです。

空がまだ少し明るさの残っている時間帯ならスマホのカメラでもそばに並んだ様子が写せるかもしれませんので是非お試しください!
撮影時には少しズームアップしてなるべく手振れしないようにスマホを持った肘を適当な高さの手すりや台に乗せて撮影すると良さそうです。マニュアル露出が使えれば段階的に明るさを変えながらたくさん撮影してみてください!あとはなるべくじっくりと自分の眼で眺めてみてください!カメラで撮影できない場合には空で月と金星が並んだ様子を遠くの景色と一緒にスケッチしておくのも良い手法となります。その時には日付や時刻、方角、そして見た場所などの記入も忘れずに。ちょっとした感想やほかに気付いたことなども書き加えておくと素敵な星空スケッチブックが出来そうです。ぜひ親子で一緒にお試しください!

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☆ 11月 10日(水) 南南西の空で土星と月が接近!!

10日夜には月齢5.5の月と土星が上下に約6.5度程まで接近した様子が見られそうです。
土星が南中する時刻はこの頃だいぶ早まって17時頃になるので見るのには少し早めで空が暗くなって来る18時頃が良さそうです。この時間ならまだ南南西の空で月の高度も26度近くありますので見やすいでしょう!今回の接近は間隔が少し広めなので肉眼で眺めるのが良さそうです。
月と土星が並んだ位置から少し東側にはマイナス2.5等で輝く木星もあります。
翌日には月と木星の接近があるのでこの時の位置関係をしっかりと覚えておいてくださいね!時間に余裕があればこの時の月と土星、そして木星の位置関係を簡単にスケッチしておくのも良さそうです!

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☆ 11月 11日(木) 上限を迎える月が木星に接近!!

11日夕方にはこれから上限を迎える月齢6.5の月が木星と上下に並んだ様子が見られそうです。
木星と月は18時頃にちょうど南の空に見えているのでこの頃に見ておくのが良さそうです。今回の接近も両者の間隔は約8度程とちょっと広めなのでこちらも肉眼で眺めてみるのがお奨めです。また前日、そして12日にも続けて見ておくと日毎の月の位置が動いていく様子を実感することができます。ちょっと時間があれば月と木星、そして月の位置関係を3日間続けて簡単にスケッチしてみてください!カメラで撮影する方が手軽かもしれませんがスケッチしておく方がずっと月が夜空を動いていく様子が感じられますので!

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☆ 11月 19日(金) 夕方の東の空で部分月食が見られる!!

19日夕方からは今年5月に続いて2回目となる部分月食が見られそうです。
今回は部分月食といってももうほんの少しで皆既月食になるくらいの欠け具合になるので十分に楽しめそうです。それよりも今回の月食は東北東の空から昇ってくる前に既に少し欠けた状態で見えて来るので地上の景色と相まってより印象深い様子が見られそうです。
会津での月の出時刻は16時22分、部分月食の欠け始めが16時19分ですので今回の月食は月が見えて来る東北東の方角がなるべく低い空まで見渡せる場所が狙い目になります!この時間ではまだ日没前で空は明るい状態ですが、月がまだ低い空でも双眼鏡で眺めれば満月の月が次第に左側から欠けていく様子がはっきりとわかるでしょう。
そして月食が最も欠けて見える18時3分には月の高度も18度程まで上がって見やすくなって来ます。さらに今回の注目はちょうど欠けている月の左斜め上にはおうし座の散開星団M45、通称「すばる星団」があってなんと視界の広めな双眼鏡ならすばると一緒に眺められるというとても珍しい様子が楽しめそうです!

このあと少しずつ欠けた部分が戻って来て19時47分頃には本影食が終わりとなります。
この時間でもまだ月は地球の半影に入っているので双眼鏡でじっと見てみると月の右上側の縁の方がほんの少し薄暗いようすがわかるかもしれません。21時4分には完全に地球の影から抜け出して明るい満月の輝きを見せてくれそうです!今年5月の月食はお天気が悪くて見られない地域が多かったので今回はよく晴れた空でじっくりと眺めてみたいものですね!

欠けた月の様子は望遠レンズなどがあれば月が露出オーバーにならないようにマニュアル露出で撮影すれば意外と簡単に写せます。月が見えて来てから例えば10分毎に撮影しておくと欠けていく様子がわかる貴重な記録になりますのでお試しください!

情報では星の村天文台でも月食特別夜間公開を行うみたいです!
https://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/20/yakankoukai.html

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☆ 11月 27日(土) 下弦の月が昇って来るところを見てみよう!!

今月27日、夜21時28分には月が下弦を迎えます。
そして会津での月の出は東北東の空から23時9分になるようです。日付が変わる夜中にはしし座のおなか付近でほぼ半分の月の姿が見られそうです。昇って来る頃には半月が横になって見えているのが珍しいのでちょっと遅めの時間になりますが見てみてくださいね!
そして28日(日)の朝方、6時過ぎにはちょうど南の空に見えていますのでこちらもぜひ見つけてみて下さい!

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