starchart201511
画像提供 アストロアーツ http://www.astroarts.co.jp/

今年もあと残り2か月となってしまいました。
11月になると朝晩の気温もだいぶ下がって寒い日が多くなってきそうですが、大気中の水蒸気量が減って空気が乾燥してくる時期には、お天気さえ良ければこれまでの季節以上に美しい月や星が見られることがあります。
うっかり風邪などひいてしまわぬように防寒対策をしっかりとして、そんな星空を楽しんでみて下さい!

11月は3日が下弦の月、そして12日が新月なので、月の前半が月明かりに邪魔されずに星空を楽しめそうです。
11月初めでも20時頃になると東の空からは冬の星座のおうし座やぎょしゃ座も姿を見せています。
おうし座のすばるは肉眼だと6,7個の星が集まっている様子がわかりますが、双眼鏡で見ると小さな星たちも付近に集まっている様子がわかります。
さらに20時半頃になれば・・だれもが知っていて星座の中の王者とも言えるあのオリオン座が少しずつ見えてきます。
腰のベルトになる きれいに等間隔に並んだ3つ星は、東の地平線から昇るときには縦に3個並んだ状態ですので、そんな様子もぜひ見ておいて下さい!

そして今月も夜明け前の東の空から まだまだ眼が離せません!!
金星と木星は少しずつ離れて行きますが、間隔が変わっていく様子も時々チェックしてみて下さい!
以下の画像は10月26日未明の夜空の様子です!こんな素敵な光景が見られるなら、早起きする価値があると感じられますね。
_IMG3575

そういえば今月11日には「ブラザーアーストーク ~JAXA 油井宇宙飛行士とリアルタイムで交信~」というイベントも行われるそうです。
http://goo.gl/efygi2

こちらは国際宇宙ステーションにて長期滞在中の日本人宇宙飛行士の油井亀美也さんと地上の科学館施設にてリアルタイムでの交信を行い、地上からいろんな質問をして宇宙から油井さんに答えてもらうという企画のようです。
当日のイベントがニュースにも取り上げられるかもしれませんので注目しておいてください!

また、国際宇宙ステーションは夕方か明け方には肉眼でも明るく輝きながらゆっくりと移動して行く様子を見ることができます。
油井さんの長期滞在も12月までなので、今のうちに下記のJAXAサイトで可視パス予報をチェックして、上空を通過して行く様子をぜひ見ておいて頂ければと思います。
11月上旬は早朝に観察しやすい日時の予報があるので、ぜひ時刻チェックを。
http://goo.gl/Xc3Dxw

今月も、いつものように会津での11月の日の出、日の入り時刻を10月初めと比べてみると以下のようになりました。
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   月   日    日の出      日の入り
 10月  1日  5時 32分   17時 27分
 11月  1日  6時 01分   16時 46分
 11月 30日  6時 31分   16時 26分
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10月に比べてずいぶんと日の出や日の入りの時刻が変化しているようですね。
時間があればそれぞれの昼の時間と夜の時間を計算してみて下さい!

夕方暗くなる時間もだいぶ早くなってきましたので仕事帰りにも星空を眺められそうです。
お天気の良い日が楽しみですね!

それではそろそろ11月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 11月 3日(火) 明け方の空で金星と火星の大接近!

明け方の空で、先月26日には1度程まで接近していた明るい金星と木星ですが・・そのあと木星が少しずつ離れてきていて、3日未明には7度くらいの実視界の双眼鏡でもどうにかぎりぎりで見えるくらいまで離れてしまっています。
でも、金星のすぐ左側には赤っぽい星が見えているはずです。
その星の正体は火星です!!
この時点では地球からの距離が地球―太陽間の2倍以上離れているので明るさも1.7等級とさほど目立つほどではありませんが、双眼鏡などで眺めてみると小さいながらも独特の赤っぽい色が独特の存在感を感じさせてくれます。
金星と火星の位置関係も日毎にちょっとずつ変化していますが、3日未明が0.7度程で最接近となるようです。
火星は来年夏には見ごろを迎えて夜空の中でもかなり目立つようになるはずです。
どの辺の夜空で見えるかは来年の星空案内をお待ちください!
こちらも前後数日間で続けて見ておかれることをお奨めします。

また3日には下弦の月も見られますので少し離れた月にも注目してみて下さい!!

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☆ 11月 6日(金) おうし座南流星群の極大!!

おうし座流星群と聞いて??と思う方も多いかもしれませんね。
有名なペルセウス座流星群やふたご座流星群等のように多い時では1時間に50個も見られることがある流星群と比べてしまうとこちらは普段の年でもピーク時の出現数は1時間当たり10個前後なので普段はあまり注目されることは少ないのですが・・たまに明るい火球クラスの流れ星が多く出現する年があって、今年もしかすると明るい流れ星が多くなるかもしれない??という予想が出ています。
前回は2005年にそうした状況があったそうなので、うまくすれば10年ぶりに見られるかもしれません。
ちょっと期待したいですね!
おうし座流星群は北群と南群の2つあって、ピークになる時期がちょっとずれて出現するというちょっと変わった流星群です。
おうし座の胸のあたりに放射点がある南群のピークは6日頃と予想されていますが、こちらは10月半ばから11月末までの出現があって、その間なだらかな出現数の増加を見せてくれます。6日だけでなくお天気が良さそうな夜にはしっかりと防寒対策をして夜空を楽しみながら流れ星を待つようなスタイルが良いかもしれません。
もし運良く明るい流れ星が見れたら私達にお知らせくださいね!

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☆ 11月 7日(土) 明け方の空で月と木星接近!

「11月で見逃せない天体の接近 その第1弾」です!!
先月より少し離れてはきましたが、今月初めも、明け方の東天では金星と、マイナス1.8等級で明るく輝いている木星がとても目立っています。
そんな中、7日未明には木星と月齢24.8の細い月が3.7度くらいまで接近した様子が見られます。
両者の間隔は4度弱と決して大接近というわけではありませんが、月の少し下には眩しいほどに輝く金星や赤っぽい火星もあって、これらの天体が10度程のエリアに集まっているというものすごい贅沢な様子だと思って見て頂けると良さそうです。
まだ夜空の暗い時間帯の4時過ぎの頃、しし座とおとめ座の境界付近での星空と一緒に眺めてみるのも良いですし、4時半から5時頃にかけて少しずつ夜空の色が変化して来る頃もまた素晴らしい眺めとなりそうです。
ぜひ早起きして見てみて下さい!!

また、7日朝ですと、月の右側に2度ほど離れた位置には日本の小惑星探査機はやぶさ2が向かう目的地である小惑星「Ryugu」があります。
今年12月3日に地球スイングバイを行って速度アップと大幅な軌道変更を行い2018年夏頃に到着予定となっています。
小惑星「Ryugu」の名前は、この夏に全国の方からのたくさんの応募の中から選ばれたもので、おとぎ話にある浦島太郎に登場する竜宮城から名付けられました。
小惑星「Ryugu」のこの時の明るさは21.4等級なので見ることは出来ませんが・・小惑星探査機はやぶさ2が向かう目的地が今あの付近にあるのだなということで思い出していただければと思います。

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☆ 11月 8日(日) 明け方の空で金星と月の接近!

こちらが「11月で見逃せない天体の接近 その第2弾」です!!
先月に続いて、明け方で明るく輝いている金星のそばに再び細い月が接近するという現象が8日明け方に見られそうです!!
今回は先月程の大接近にはなりませんが、近くの火星と金星、そして月齢25.7の細くなった月が視界の広い双眼鏡なら一緒に眺められそうです。
金星と月は3時頃には東の地平線から姿を見せていますので、まだ低い空に上下に並んだ様子もぜひ見ておきたいものです。
また時間とともに金星と月の間隔がホンの少しずつ離れて行くので早めに見ておくのがお奨めとなります。
もちろん5時頃のちょっと空が明るくなりかけの頃の様子もまた見逃せませんね!
空が少し明るくなりかけの頃ですとコンパクトデジカメのオートモードでも意外ときれいに写ったりすることがあるので、見るだけでなく写真も試してみて下さい!
万が一、どうしてもうまく写せないという場合には見えた様子をぜひスケッチしてみて下さい!!
地上の大まかな景色、金星、月、木星等の配置を簡単に描いておくことで眼で見ただけの場合よりもずっと印象が深くなりますよ!

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☆ 11月13日(金) おうし座北流星群の極大!!

おうし座南流星群のところにもありましたが、こちら北群も同じように10月半ばから11月末まで出現が見られるようです。
北群の放射点は近くにすばる星団があるので比較的わかりやすいでしょう。
おうし座はこの時期には18時頃には東の空に昇っていますので、夜空が暗くなってからほぼ一晩中出現の可能性があります。
12日が新月なので月明かりの少ない頃を選んで見るのがお奨めになりそうです。

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☆ 11月 18日(水) しし座流星群の極大!

2001年に雨のように次から次へとまさに流星雨とも呼べるような大出現を見せてくれたしし座流星群もこのところは比較的おとなしい出現状況が続いています。
今のところ目立った出現はしばらくは無さそうだという予報もありますが、何が起こるかわからないのが流星群の楽しみでもありますので、例年のように1時間に10個くらいなのかどうかを確かめる意味もこめて、ぜひこの前後は夜中から明け方にかけて1時間でも見ておいてみて下さい!
一応今年のピークは日本時間だと18日13時頃と予想されているので、17日深夜~18日未明と18日深夜~19日未明が狙い目となりそうです。
この時期だと まだまだおうし座流星群の出現もあるので、流れた経路からどちらの流星群に属するものなのか確かめてみるのも面白そうです。
19日が上弦なので深夜から明け方にかけては月明かりの影響もなく眺められそうです。
寒い時期なのであまり無理せずに眺めてみて下さい!

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☆ 11月 26日(木) 夕空でおうし座の1等星アルデバランが満月に隠される!!

26日はちょうど満月を迎えたところですが、その月が東の空に昇ったばかりの時間帯におうし座の1等星アルデバランが月の後ろに隠されるという珍しい天文現象が起こります。
会津では17時11分に月の左下から隠れて行くはずですが・・まだこの時間帯だと空も明るいことや月の高度が地平線から1.5度くらいしかない事などから残念ながら隠されるところを見るのは無理のようです。
ですが、アルデバランが月の右斜め上から18時3分ごろに姿を見せる頃には月の高度も11度くらいまで高くなってくるのでぜひ月の後ろからパッと見えてくる瞬間を捉えてみたいところです。
出現時刻の予報は出されていますが多少誤差もあるかもしれませんので少し前から見ておいてみて下さい!!
今回の出現の様子は明るい満月の月の縁での現象なので肉眼だとちょっと難しく、少なくとも双眼鏡・・できれば望遠鏡があると迫力ある様子が楽しめそうです。
双眼鏡の場合でもできるだけ三脚などに載せて安定した状態で見るのがお奨めとなります。
月の後ろからアルデバランが姿を見せてからも、しばらくの間は地球を回る月の動きの為にじわじわと月の縁から離れて行く様子もなかなか興味深く見ることができますので、そうした様子もぜひご覧になってみて下さい!
そしてこの時にはアルデバランの色にも注目してみて下さい!
普段見た時にもちょっと赤っぽい色合いを感じますが、今回のように明るい月と一緒に見ることでその色合いが星だけで見た時よりもずっと目立ってくることがあるようですので確かめてみて下さいね!。

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(M)