「はやぶさ2」衝突装置 供試品 ダミー外観  画像提供JAXA/日本工機
「はやぶさ2」衝突装置 供試品 ダミー外観  画像提供JAXA/日本工機

今回は毎日新聞永山記者によるこちらの記事をご紹介します。

はやぶさ2:生かせ民間の技…プライドかけ/震災乗り越え
http://mainichi.jp/select/news/20141126k0000e040196000c.html

前回のミッションでも、町工場など民間のモノづくりの技術、職人たちのプライドが
「はやぶさ」を奇跡に導いたと言ってよいでしょう。
「はやぶさ2」でもその脈流が続いているのが嬉しいし、途切れさせてはいけない。
まずは、このような視点を忘れずに、記事を通して世間に訴えている永山記者に感謝を申し上げたい。

わが故郷、福島県も「はやぶさ」プロジェクトでは多くの民間企業、大学等が関わっていました。

主だったところでも、下記の4つの拠点が挙げられます。
★NECネットワークプロダクツ(福島市) 通信機器用電源の開発
★藤倉航装(船引町) 帰還用パラシュートの開発
★古河電池(いわき市) リチウムイオンバッテリーの開発
★会津大学(会津若松市) 小惑星イトカワの観測用ソフトウェアの開発
もちろん「はやぶさ2」プロジェクトでも引き続き、同様に携わっています。

そして、「はやぶさ2」で新しい福島の民間企業のモノ作りが関わっています。

★日本工機(西郷村) インパクタ(衝突装置)用弾薬の開発

インパクタ(衝突装置)とは、目的天体である小惑星1999 JU3の表面に円錐形の爆薬を投下し、
数メートルのクレーターを作るのが目的だ。
「はやぶさ2」はそのクレーターにタッチダウンして、小惑星の地下にある、より太陽系誕生の時期に
近い試料の採取を行います。
このような試みは世界でも初めての挑戦だ。

記事に掲載されているように、その爆薬の開発は困難を極め、更に2011年の東日本大震災で受けた
被害を乗り越えて完成したモノである。
その性能がいかなるモノであるかは、「はやぶさ2」が小惑星に到着する2018年まで楽しみに取って
おいて頂けたらと思います。

もし、2011年の東日本大震災で「はやぶさ2」計画が中止になっていたら、たくさんの民間の職人さん
の技術がそれまでのモノとなっていたでしょう。

リチウムイオンバッテリーの軽量化は、世界中のスマートフォンや電子機器に搭載されるように
なりました。
帰還用パラシュートの技術は、航空機に常備されるパラシュートや、自動車用のエアバッグにも
応用されています。

震災を乗り越えた技術は、宇宙開発だけでなく、いつか復興の糧になります。
私たちの生活にも活かされるのです。

宇宙開発はJAXAだけではありません。

日本全国の各地でも宇宙開発に携わることが出来るのです。
みなさんの住んでいる処の近くにも、「はやぶさ」や「はやぶさ2」が関わっている民間会社が
あるかもしれません。

文責:会津そらの会 本田 幸司