11月30日(日)に打ち上げ予定でした「はやぶさ2」は、当日の天候不順が予想されたため、翌日の12月1日(月)午後1時22分43秒に延期となりました。

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(C)JAXA

なぜ天候不順でロケットの打ち上げが中止になったのかというと、当日の種子島上空に氷結層を含む雲が現れる確率が高くなったからです。
上図にあるように、氷を多く含んだ雲に猛烈なスピードでロケットが飛び込むと、氷とロケットの摩擦で雷を誘発する危険があります。その雷がロケットを直撃すると、ロケット自体にトラブルが発生したり、搭載されている「はやぶさ2」や副ペイロード衛星に悪影響を与える可能性があるからです。
「はやぶさ2」は精密機械ですので、落雷を受けるととても大きなダメージを受けてしまい、その後のミッションが遂行出来なくなる場合があります。

これは「はやぶさ2」に限らず、ほかの人工衛星や探査機でも同じことです。最近では、2010年に「はやぶさ」初号機と入れ違うように旅立った金星探査機「あかつき」と小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」も氷結層を含む雲の影響で、打ち上げが3日遅れたケースがありました。

このように、地上では雨模様であっても、ロケットの飛行経路上に「氷結層」を含む雲が存在する場合は打ち上げが中止となるのです。このような天候不順によるロケットの打ち上げ延期は、特に珍しいことではありません。

私たちは、ほかの人工衛星や探査機の打ち上げであれば、トラブルを回避するための当然の選択だと納得したでしょう。もちろん「はやぶさ2」でも同じ思いです。打ち上げでトラブルが発生して、目標の小惑星まで行くことも出来なくなるのは、あってはならないことです。

だけど、「はやぶさ2」は、明日予定通り旅立って欲しかった。

私たち会津そらの会のメンバーは恥ずかしながら、オジサンオバサンが中心です。住んでいる地域も会津に限らず色々です。今回の「はやぶさ2」打ち上げは日曜日と言うことで、メンバーのほとんどが顔を合わせることが出来る楽しみな一日でした。もし打ち上げが平日だったら、それぞれのメンバーも仕事や家の事情があるので一同で集まるのは難しいことでしたでしょう。

そして、今回のパブリックビューイングの会場は会津大学講堂。そこで私たちは「はやぶさ2」を見送るつもりでした。奇しくも、その会津大学の講堂は、3年前の2011年1月に「HAYABUSA BACK TO THE EARTH」を初めて上映した会場と同じでした。会津そらの会にとって、原点とも言うべき場所です。

それだけに、私たち一同がみんなで「はやぶさ2」を宇宙に見送ることが出来なくなったのはとても辛い思いで残念でした。

しかし、そんなオジサンオバサンの哀愁で「はやぶさ2」を飛び立たせるわけには行かないですね。

「12月1日の打ち上げはきっと上手く行く!!」

私たちは、その日をそう思いながら、それぞれの生きる場所で「はやぶさ2」の旅立ちを見届けます。

文責:会津そらの会 本田 幸司

12/1追記 「はやぶさ2」は更なる打ち上げ延期で12月3日の午後1時22分4秒に再設定されました。