長らく間が空いてしまいましたが、また少しづつ「はやぶさ2」の航海の軌跡を残していきたいと思います。
拙筆と、かなりの遅筆で大変お見苦しい限りですが、何卒ご容赦頂ければと存じます。

種子島宇宙センターより打ち上げられて3か月目の2015年3月3日、小惑星探査機はやぶさ2は新しい段階(フェーズ)へと進むことになりました。

ここで、小惑星探査機はやぶさ2の旅の行程をもう一度確認してみましょう。

2014年12月3日 H2-Aロケットにより種子島宇宙センターより打ち上げ
2015年11月~12月 地球スイングバイ
2018年6月~7月 小惑星1999 JU3到着~小惑星観測および試料採取
2019年11月~12月 小惑星1999 JU3より地球へ出発
2020年11月~12月 地球帰還

目的の小惑星への旅は長く、今始まったばかりです。
打ち上げられたはやぶさ2は1秒間あたり約27kmのスピードで航行しています。
空気抵抗のある地上では考えられないくらいの速いスピードですが、まだまだ十分な速度にはありません。
また、はやぶさ2は地球と並行して太陽の周りを一緒に公転する軌道にあります。
今後、目的の小惑星に向けての軌道変更とさらなる加速を行うための地球スイングバイへの準備が始まりました。

そのための第一段階として、イオンエンジンの連続運転の運用が開始されました。
今回使用されるイオンエンジンは、エンジンAとエンジンDの2基で、約400時間連続運転する予定です。
この運用のことを「軌道制御運転」と言います。
その後、一旦イオンエンジンの運用を止めて、6月ごろに2回目の連続運転を行い、今冬(11月~12月)の地球スイングバイに向かう予定です。

はやぶさ2が新しい航行段階(巡行フェーズ)へ移行したことを受けて、プロジェクトマネージャーの國中仁教授は以下の通りのコメントを発表しました。
「全ての関係者の皆さまい感謝申し上げるとともに、運用に携わるメンバー全員、改めて気を引き締めて臨んでまいります。その気持ちを次の言葉に込めたいと思います。『武運を信じ、いざ深宇宙動力航行に挑まん。両舷前進強速。進路、地球スイングバイ回廊』」

小惑星探査機はやぶさ2の本格的な宇宙の旅の始まりに、國中プロジェクトマネージャー以下、はやぶさ2プロジェクトメンバー皆さんの興奮と高揚感、そして今後の運用への自信がとても感じられるコメントでした。

参考リンク
“L+90” 初期機能確認終了。小惑星に向けて、いざ巡航フェーズへ。(ファン!ファン!JAXA)
http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/3926.html
“L+93” イメージで我慢(ファン!ファン!JAXA)
http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/3962.html

文責 会津そらの会 本田 幸司