9月23日、メンバーが参加した「日本惑星科学会公開講演会」の
レポートです!

===================

去る9月23日(火)、宮城県仙台市にある東北大学にて、日本惑星科学会主催
一般向けの公開講演会(はやぶさ2打ち上げ迫る!)が開催されました。
今回は、「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーの國中均先生と、
「はやぶさ2」プロジェクトサイエンスティストの渡邊誠一郎先生という、
豪華二本立ての講演会でした。

DSC_0600

<題目について>
★「はやぶさ 2」が拓く宇宙探査
講演者 國中 均先生 (宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所・教授)

★「はやぶさ 2」が探る惑星科学
講演者 渡邊 誠一郎先生 (名古屋大学大学院環境科学研究科・教授)

「はやぶさ2」プロジェクトマネージャーの國中先生は、もう説明する必要は無いかもしれませんが、
「はやぶさ」初号機のイオンエンジンの開発を担当されました。
「はやぶさ」が小惑星イトカワから地球へ帰還する途中で、イオンエンジン4機全てが故障して
しまったとき、開発中「こんなこともあろうかと」コッソリ仕込んでおいた部品のおかげで、
無事に地球へと導いたエピソードはとても有名になりました。

「はやぶさ2」プロジェクトサイエンティストの渡邊先生は現在、名古屋大学の教授で、
「はやぶさ2」プロジェクトとは2012年から関わり、科学側の責任者を務めていらっしゃいます。
渡邊先生の専門は惑星形成論とのことです。

今回の題目は「はやぶさ2」について、全く同じテーマではありますが、
國中先生は工学的な立場から、渡邊先生は理学的な立場からと、違った視点から「はやぶさ2」に
ついて詳しいお話をされて、とても興味深く拝聴することが出来ました。

DSC_0604

DSC_0620

しかしそれにしても、國中先生の講演はとてもハードでした。
筆者は國中先生の講演は2回目でしたが、例え受講者に小学生がいたとしても、専門的なお話を
ズバズバされます(笑)。
「はやぶさ2」本体のことは勿論ですが、電気ロケットと化学ロケットの違いや、イオンエンジンの
理論と構造、ツィオルコフスキーの方程式、アメリカにおけるロケット黎明期についてなどなど、
短い時間でしたが幅広くお話をされた挙句に、講演の最後ではテストが行なわれ、受講された人たちを
容赦なく次々と(笑顔で)ご指名されていました。

そして「はやぶさ2」の機体は、9月22日神奈川県相模原市にある宇宙科学研究所(ISAS)から
鹿児島県の種子島宇宙センターに無事に輸送されたそうです。
具体的な日付はありませんでしたが國中先生は「何とか今年中の打ち上げを目指したい」と、力強く
強い意欲を語られました。

対する渡邊先生も、「はやぶさ2」が目指す小惑星1999 JU3について詳しくお話されました。

DSC_0623

「はやぶさ」初号機が目指したイトカワはS型というタイプの小惑星でした。そして次に
「はやぶさ2」が目指す小惑星1999 JU3は、C型に分類される小惑星です。

イトカワはS型、SはStone=主に岩石で構成された小惑星でした。地球に飛来する主な隕石は
このS型小惑星から由来するものだと、「はやぶさ」が持ち帰った小惑星のサンプルから証明
されました。
次に「はやぶさ2」が目指す小惑星はC型と言い、Carbon=炭素、有機物や水が多く含まれた
鉱物で形成されていると予測されています。
イトカワが「地球」を形造った小惑星だということに対して、1999 JU3は私たち人間や動物、
植物を形造った「生命」の謎について解き明かすことが目的です。
また、渡邊先生は「はやぶさ2」がもたらすものは小惑星だけに留まらず、太陽系全体や、
どのように太陽系が形成されて来たのかなど、幅広い成果が期待されるとお話しされていました。

DSC_0623

最後に、國中先生のお話に戻りますが、「はやぶさ2」から次の宇宙探査については、日本独自では
まだ決まっておりません。しかし、アメリカやロシアを中心に、世界的には2030年代には有人による
小惑星探査計画が進められているそうです。
國中先生は、「今回受講された参加者で特に若い人たちには、10年後20年後の自分をイメージし
日本の宇宙開発へ携われるように頑張ってほしい」と熱い期待で締めくくられました。

「はやぶさ2」打ち上げとミッションの成功も重要ですが、今後日本の深宇宙探査が「はやぶさ2」で
終わらないために、引き続き私たちは日本の宇宙開発を応援していかなければとの思いを新たに致しました。
これからも日本が世界の深宇宙探査をリードし続けられるように、宇宙開発を盛り上げて行きたいと思います。

====================

参考リンク
・日本惑星科学会 https://www.wakusei.jp/
・月探査情報ステーションブログ http://moonstation.jp/ja/blog/archives/606

文責:会津そらの会 本田 幸司