画像提供 アストロアーツ http://www.astroarts.co.jp/
15日の20時ごろ、南に向かって見上げたときの星空です。月初は21時ごろ、月末は19時ごろに同じような星空に

2020年もいよいよ11月に入り冬の季節がやってきます!
夜の気温も次第に下がってきて星を見るのにはしっかりと防寒対策が必要になってきます。でもこの時期は少し寂しげな秋の星空から賑やかな冬の星座に移り変わる時期になります。お天気が良ければちょっと遅くまで眺めていると一足先に冬の星座たちも楽しむことが出来ますので!
月初めの頃では21時頃になると東の空からオリオン座が昇ってきます!真ん中に並ぶオリオン座の三つ星は東の地平線から昇るときにはほぼ真東の方角から縦になって昇って来ることが知られています。今月はそんな様子が見やすい時期なので実際の夜空で方角を確かめながら眺めて見て下さい!

双眼鏡で三つ星を眺めるとほぼ同じくらい明るさの星が等間隔で3個も並んでいる様子が楽しめます。ところでこの三つ星にはそれぞれ名前が付けられていて、早く昇って来る方から「ミンタカ」、「アルニラム」、「アルニタク」と呼ばれています。
肉眼で眺めたときの見た目の明るさはほぼ同じくらいなので、同じくらいの明るさの星が同じような距離にあるのかな?と思ってしまいますが・・それぞれの星の明るさをと距離をステラナビゲーター10で調べてみると

「ミンタカ」  2.25等星   916光年
「アルニラム」 1.69等星  1340光年
「アルニタク」 1.74等星   817光年
というように星までの距離がだいぶ違っています。似たような明るさに見えても・・実は真ん中のアルニラムが一番遠いみたいです。
夜空の星たちは地球からの距離によって見かけの明るさはだいぶ違って来ます。これから見えて来るおおいぬ座のシリウスは夜空で光る恒星の中では最も明るい星(マイナス1.4等星)ですが、地球からの距離は8.6光年と比較的近くにあるのであんなにも明るく輝いて見えている訳です。夜空の星たちはあまりにも遠くにあるのでどの星も距離感を感じることは出来ませんが、そうした宇宙の奥行きがあることを頭の片隅に覚えておいて眺めてみるとまた印象が違って見ることができそうです。
せっかくなのでオリオン座のふたつの1等星の明るさと距離も書いておきますね。
「ベテルギウス」 0.45等星  427光年
「リゲル」    0.18等星  773光年

ところで私たちが何気なく使っている宇宙空間の距離を表す光年という指標は・・文字通りに光が宇宙空間を1年間かかって進む距離になります。私たちが通常使っているkmに換算すると・・1光年=約9兆4600億km程ととてつもない大きな数値になります。星までの距離はもの凄く遠いことがわかりますね。また、今夜空に見えている星の姿はずっと昔に星から出た光になります。星までの距離が427光年のベテルギウスは427年前の光が今現在見えていることになります。そんなに昔の光を見ているなんて何だか不思議ですね!昨年暮れ頃から徐々に明るさが落ちて一時期は2等星になってしまっていたベテルギウス、これから見やすくなってくる今シーズンでも明るさの変化にも注目していきたいですね。

そして今月も引き続き惑星関連にも眼が離せません!
地球との最接近は過ぎたものの夜空の中でまだまだ明るく見えている火星にも注目していきたいですね。下の画像は先月撮影したものですが、明るく目立つ火星とその右には見つけやすい「秋の四辺形」が写っています。今後次第に地球から次第に遠ざかっていきますが月末でもまだ明るさはマイナス1.2等級と明るいので明るい目立つ星が少ない秋の星座の中でまだまだ目立つ存在になりそうです。

そして夕方の西空に見えている木星と土星にもご注目下さい!
11月初めの頃でも先月よりも接近してきていて両者の間隔は5度ちょっと。それが月末になると2.3度程まで近くなっていきます!木星と土星は夕方に見える高度は低くなっていきますが、暗くなる時間も早まってくるので西空がまだ薄暗い早めの時間に見つけておくのが良さそうで。次第に接近していく様子も是非追いかけてみて下さい!

夜明け前の空で目立っている明けの明星・金星は今月もまだ見やすいようです。
先月初めにはしし座の1等星レグルスと大接近した様子が見られましたが、今月にはしし座からおとめ座へ移動して見えています。注目は13日未明の細い月との接近や18日未明におとめ座の1等星スピカと並ぶなどがありますので逃さずに見ておきたいですね!月末30日には満月が少し薄暗くなる半影月食もあるのでこちらも楽しみです。

☆はやぶさ2関連情報

はやぶさ2は12月6日に帰還カプセルを地球に届ける計画に沿って現在も順調に航行中とのことです。
先月半ばにトップページが更新されて地球までの距離があとどれくらいかが見やすくなっています。地球帰還までの残り日数も表示されていますが残りもうあとひと月ちょっととなりました!!はやぶさ2公式Twitterでは管制室の様子等の画像もアップされていますので時々ご覧になってみて下さい!
https://twitter.com/haya2_jaxa

はやぶさ2サイトのギャラリーにも新しい画像が追加されていますのでご覧下さい!
http://www.hayabusa2.jaxa.jp/galleries/cg/
注目はCGページにある池下章裕氏の描かれたCGで右下にあるリエントリーカプセル放出ですね!もうすぐこんな様子が実際に行われますので楽しみです。

先月21日にはアメリカの小惑星探査機オシリス・レックスが無事に小惑星ベンヌからサンプルを採取できたとのニュースも入っています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/757da569ef5f3749c7b649320e7f3fdd6a1a674b
(たくさん入りすぎてふたが閉まらずにせっかく採取したサンプルが少しこぼれてしまったというトラブルもあったようですが・・。)
一部でははやぶさ2のライバル視されているアメリカのオシリス・レックスですが、異なる小惑星のサンプルを比較出来るという意味では非常に有益な探査でもある訳ですのでこちらも無事に地球へ帰還できるように応援して行きたいですね!

そして今月は楽しみな情報が入っています。
はやぶさ2が地球にカプセルを届けてくれる直前になりますが11月27日(金)から全国の映画館で「劇場版 HAYABUSA2〜REBORN」の上映が始まるそうです!!
http://www.live-net.co.jp/hayabusa2reborn_g/
福島市の映画館でも上映があるようですので是非お出かけ下さい!

「頑張れ! はやぶさ2!!」
これからもみんなで応援していきましょう!

2020年11月の月の満ち欠けは以下のようになっています。
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  8日(日) : 下弦
15日(日) : 新月
22日(日) : 上弦
30日(月) : 満月(夕方から半影月食)
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10月31日に満月を迎えたので月初めは月明かりの影響がありますが、次第に月の出時刻も遅くなってくるので美しい初冬の星空をゆっくりと楽しめるようになりそうです。15日が新月なのでこの週末なら一晩中きれいな星空が眺められそうですね!

会津での11月の日の出、日の入り時刻を先月の10月と比べてみると以下のようになりました。
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月   日   薄明始まり      日の出        日の入り       薄暮終了
10月  1日  4時  9分    5時 33分    17時 26分    18時 50分
11月  1日  4時 37分    6時  3分    16時 45分    18時 11分
11月 30日  5時  3分    6時 32分    16時 25分    17時 55分
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(StellaNavigator10/AstroArts.にて会津若松市で計算)
やはり11月にもなるとだいぶ夜の時間も長くなって来ますね!日の出や日の入り時刻でも10月初めと11月末ではそれぞれ1時間程違って来ていますので。これからの季節、星を見るには寒くて大変だと思いますが長くなってきた夜の時間を上手く活用して星空をお楽しみ下さい!

それではそろそろ2020年11月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 11月 1日(日) おひつじ座で天王星が衝を迎える!

今の季節、夜空では火星が目立っていますが、火星とおうし座の散開星団M45、別名すばる星団のほぼ真ん中付近で1日未明に太陽系第7番惑星の天王星が太陽と反対の位置にやって来る衝を迎えます!

この頃の天王星の明るさは5.7等星と肉眼でどうにか見える程度の明るさです。
(上記の星図では星図中央付近、5.7と書いている文字の上の星が天王星です!)

10月31日が満月で、衝を迎えた1日夜でもまだ明るい月が近くにあるのでもし天王星を捜してみようという場合には月の出が遅くなってくる7日以降が狙い目となります。21時頃なら天王星のあるおひつじ座も高く昇っていますし、まだ月の出前なので月明かりの心配もありません。
衝を迎えた頃の天王星なら双眼鏡でも手持ちで十分見える明るさですが・・付近には似たような明るさの星がいくつもあるので捜し慣れていないとどれが天王星なのかわかりにくいでしょう。
ですので最初は見つけやすいカメラで撮影する手法がお奨めです。デジタルカメラをお持ちでしたら位置がわかるようにおひつじ座の明るい星と一緒に標準レンズクラスのレンズを付けたカメラを三脚に載せて30秒くらいで撮影してみましょう!感度設定は1600程度に設定。絞りは開放!撮影前には明るい星を使ってライブビューで撮影前にピントを合わせておきます。
同じ場所を2,3日後にまた撮影しておいてパソコン上で画像を並べて比較してみて下さい!
この時期なら数日間でも天王星が星たちの中で少し西へ移動している姿が見つかるかも知れません!

またこの秋から冬の初めにかけてなら天文台の大型望遠鏡で見てみるのもお奨めです。
流石に地球から太陽までの距離の約19倍近くも遠いので表面の模様まではわかりませんが独特の青みがかった色が楽しめますので!
ぜひリクエストしてみて下さい!

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☆ 11月  5日(木) おうし座南流星群が極大!

11月に活動を見せてくれる流星群のひとつ、おうし座南流星群が極大を迎えます。
おうし座流星群には放射点がすばる星団の少し南にある北群ともう少し南側でおうし座の胸付近にある南群があります。どちらも活動期間が10月中旬から11月末頃までと比較的長いのですが、その分極台の頃でも極端に数は増えずに1時間あたり5,6個程度の出現数なのであまり過度な期待は禁物ですがたまに明るい火球クラスの流れ星も見られるので運良く見られたときには印象深い事でしょう!
今年の極大日に当たる5日夜には月齢20の明るい月がお隣のふたご座にあるので夜空が明るくなってしまう影響が大きいようです。ですのであまり極大だということにこだわらずになるべく視界に月が入らないような方角をメインにゆっくりと星空を眺めている感じで臨んでみて下さい!

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☆ 11月 7日(土)~16日(月) 夜明け前の空で水星が見えて来る!

太陽からあまり離れない為になかなかお目にかかれない水星ですが、今月11日に東方最大離角を迎えるのでその前後7日~16日頃までが夜明け前の低い空で見つけやすい期間になります。かなりの低空なので最初から水星を見つけようとすると方角の角何などでちょっと手間取ったりすることがあるのですが・・今の時期の明け方の空には明るい金星があるので水星を見つける良い目印になってくれそうです。
明け方5時頃くらいに東南東の方角の低い空まで開けた場所で最初に金星を見つけて、その少し左下の地平線付近を双眼鏡で捜してみて下さい!
この頃の水星は0等級程の明るさがあるので低空での透明度が良ければ肉眼でも見えるかも知れません。この期間でお天気の良さそうな日を選んで捜してみて下さい!!

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☆ 11月 12日(木) おうし座北流星群が極大!

12日にはおうし座北流星群が極大を迎えます。
南流星群とは極大の時期が1週間程しか違わない事や出現期間がほぼ同じで約一ヶ月半と長い点、放射点が近いのであまり区別しにくい点はありますが、こちらは月の出の時刻もだいぶ遅くなるので条件は良さそうです。こちらも出現数は1時間あたり数個程度と予想されていますが、南群の残りの出現やたまにしし座流星群も見えて来ているはずなので意外と眼にすることが出来る流れ星の数は多いかも知れません。寒い時期なのでしっかりと防寒対策をして眺めてみて下さい!

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☆ 11月 13日(金) 未明の空で細い月と金星が接近!

13日未明には月齢27の細くなってきた月が明けの明星の金星に約3度まで接近した様子が見られそうです!先月はお天気の関係で見られなかったのでこちらは是非見てみたいですね!両者の間隔も先月の時より近くなっていますので。

最近は日の出の時刻も遅くなってきましたので今回の接近した様子の見頃の時間帯は4時半~5時頃になりそうです。徐々に明るくなって来る色付いた空に並んだ様子はなかなか見応えがありますので是非早起きして見ておきたいですね!今回はおとめ座座の中での接近なので右下には少し離れて1等星スピカも見えているようです。そんな様子もゆっくりと眺められたら素敵でしょうね!

もしお天気が良さそうでしたら前後1日も見てみて下さい!1日毎の月の動きの様子もわかりますのでお奨めですよ!

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☆ 11月 14日(土) 明け方の空で新月前の月が水星に大接近!!

14日未明には東南東の低い空で月齢28.0のとても細い月が水星と1.3度までとかなりの大接近となる様子が見られそうです。
見やすい時間は5時15分頃になりそうです。この頃ですと水星の高度も5度を超えてくるので低空に雲などが無ければ双眼鏡で捉えることが出来そうです。今回は目印となる明るい金星があるので、最初に金星を見つけたあとでその少し左下方向で地平線付近を捜せば良さそうです。既に薄明が始まっている時間ですが何とか見てみたいものです。

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☆ 11月 17日(火) しし座流星群が極大!

このところ活動の方は低調だったしし座流星群ですが今年は17日20時頃に極大を迎えるようです。
本来しし座は春の星座なのでこの時期にしし座の顔付近にある放射点が昇って来るのは23時頃になるので実際には深夜~18日未明が狙い目となりそうです。17日の月齢は2なので今年は月明かりの影響も全く無い好条件で見られそうです。あとは気になるのが出現数ですが予報では極大の頃でも1時間あたり5個前後とあまりたくさんの流れ星は期待できないかも知れませんが意外と明るい火球も出現するのでお天気さえ良ければなるべく見ておきたいものです。この時期にはおうし座流星群もまだ多少活動しているのでそちらにも注目してみて下さい!

16日の夜明けには月齢28.4のとっても細い月が東の低い空に見えて来ます。(月は真東から2度程南側)
但し今回は空がもう明るくなっている5時頃になっても月の高度は僅か3.5度と条件的にはかなり厳しいので東の低い空まで雲が無くて、双眼鏡を使えば何とか見られるかも?といった感じです。秋も深まって透明度が良い時でしたら是非チャレンジしてみて下さい!

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☆ 11月 19日(木) 夕方の空で月が木星と土星に接近!

19日夕方、17時30分頃には南西の空で月齢4.1の細い月と木星、そして土星と三角形の形に並ぶ様子が見られそうです!
この頃の木星と土星は月初めの頃よりも接近していて、そこに更に細い月が加わってとても賑やかな景色となりそうです!!今回は月と木星の間隔が約3.4度、月と土星の間隔も約5.7度程なので比較的広い視界(7度以上)の双眼鏡ならなんと3天体を一緒に眺められるという滅多に無い様子が楽しめそうです!18時くらいになれば空もすっかり暗くなっていて座付近の星たちも加わって更に素敵な景色になりそうですので今からとても楽しみです。是非お見逃し無く!!

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☆ 11月 26日(木) 月と火星の接近!

26日夜にはまだ明るい火星が月齢11の月に約7度まで接近した様子が見られそうです!
この頃の火星の明るさはまだマイナス1.3等星の明るさがあるので明るい月のそばでもまだかなりの存在感で見えていることでしょう!今回は両者の間隔がやや広めなので一般的な双眼鏡では一緒に見るのは無理ですが、程良い間隔で並びますのでむしろ肉眼でその様子を楽しんで頂ければと思います。お天気が良ければ接近の前後でも見ておくと・・一晩での夜空での月の動きがどれくらいになるのかを確かめる良いチャンスとなります。18時頃でも南東の空で十分見やすい高さになっていますのでぜひご家族で一緒にご覧下さい!

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☆ 11月 30日(月) 満月 & 夕方からの半影月食!!

今月30日には満月を迎えます。
そしてこの夜には夕方から半影月食も見られそうです!!今回の半影月食は始まりが16時32分、最大に欠けるのが18時34分、終了が20時53分になります。始まる頃はまだ空も明るい時間帯なので無理ですが、18時頃になるとすっかり空も暗くなるのでこの頃の時間に双眼鏡を月に向けてみて下さい!月の左上の2/3程が右下に比べてホンの少し薄暗い感じになっている様子がわかるかも知れません。望遠レンズをお持ちでしたら月本体が露出オーバーにならないように露出時間を設定して撮影してみて下さい!
意外と肉眼で見るよりもずっと月の左上が薄暗くなっている様子がわかりやすいでしょう。

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