今年も春の訪れを感じられる3月を迎えました。
それにしても今年の冬は異常とも呼べる程に雪が少なかったですね。
毎週木曜日に更新されている気象庁の1ヶ月予報等を見るとこの暖冬傾向は3月に入ってからもまだ続きそうです。
https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/longfcst/1month/

一般的には冬の厳しい場所に住んでいると暖冬だと冬も過ごしやすいし、雪が少なければ通勤通学の時も楽で良いのでは?と思ってしまいがちですが・・こうした変化は地球規模で他の季節にも大きな影響を与える危険性も持っています。
わかりやすいところでは降水量の変化でしょうか。
これまでよりも雨の降る時と降らないときの差がかなり大きくなってしまう傾向があるようですので台風被害はもちろん、局所的なゲリラ豪雨による大水害や竜巻等による大きな被害が増えてしまいそうで心配なところです。普段から非常時に備えて準備しておくことも大事になりそうです。

また新型コロナウイルスによる肺炎も先月からは日本国内で感染者が次々と出ていることも気がかりです。毎年恒例の大きなイベントなどがいくつも中止になったりと社会的な影響も大きくなってきています。あまり大きな流行とならずに1日も早く収束してもらいたいですね。

心配な出来事がたくさんあるこの頃ですが、そんな時には是非夕方の西空を見上げてみて下さい!
日本でも昔から宵の明星と親しまれてきている金星が今月も見頃を迎えています。金星はマイナス4等級と普通の1等星の100個分もの明るさなので肉眼で眺めてもとても美しく輝いている様子を楽しめます!実際の空で他の星座の1等星と見比べてみて下さい!

せっかく見やすい時期を迎えている金星なので見るだけで無く写真でも撮影してみて下さい!
最近のスマホだとカメラ性能もかなり良くなってきていますのでお天気の良さそうな日を選んで景色と一緒に金星を撮影してみて下さい!コツはまだ少し夕空の明るさが残っている時間帯に撮影することです!遠くの景色がまだ見えている頃だとカメラのオートフォーカスがピントを捉えやすくなりますし、美しい空の色合いや景色と一緒に写すことができますので。
夕暮れ時にはカメラのシャッタースピードも遅くなりがちなので普通に手持ちだとぶれやすくなるのでスマホを持つ手を何か台のようなものに載せて撮影してみて下さい!
空が暗くなるとカメラが夜と判断して勝手に最高感度に設定されてしまう場合もありますのでもし撮影してみて高感度ノイズが目立つようなときにはマニュアル設定が可能であれば多少感度を1,2段下げて撮影してみましょう。

1眼レフのデジタルカメラならカメラ三脚に載せて撮影すれば星空と景色の星景写真もやりやすくなってきますのでお持ちの方は是非チャレンジしてみて下さい!

下の画像はひとつの例として、先月6日夕方に撮影した金星です。月明かりに照らされた安達太良連峰の上で輝く金星がとても美しく輝いていたのが印象的でした。風はとても冷たかったですが・・。

そういえば星の村天文台では例年1月から3月までは夜間での降雪や路面凍結時の危険性を考慮して夜間公開はお休みになっているそうですが、昨年から今年にかけてはまだ殆ど雪も積もっていないので今後も急な積雪や路面凍結が無ければ毎週土曜日夜に夜間公開を行うそうです。

会津からだとちょっと遠いかも知れませんが天気予報をチェックして晴れそうな週末には是非お出かけ下さい!
星の村天文台の情報は田村市のサイトにありますので時々ご覧になってみて下さい!
http://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/20/
出かける際にはお天気や雪の状況などを予め天文台へ電話でご確認して安全に気をつけてお出かけ下さい!

そして最近話題の天体といえばやはりオリオン座の右肩で赤っぽく輝いているベテルギウスですね!
先月には確実に2等星にまで明るさが落ちてしまっていますが、その後の状況がどうなっていくのかまだまだ目が離せません。1等星のこうした大きな変化は天文学的にも大きく注目されていて巨大な望遠鏡で撮影されたベテルギウス本体や周辺の様子も公開されていますのでこちらもご覧下さい!
https://www.eso.org/public/news/eso2003/


上の画像は先月23日に冬の大三角付近を撮影したものですが、ベテルギウスがこいぬ座のプロキオンと比べてもずいぶん暗くなっている様子がわかります。
2月後半頃の観測では明るさがやや戻りつつあるのではといった情報も入ってきていましたのでお天気が良ければ毎晩でもオリオン座のベテルギウスを観察して周囲の他の星と明るさを比べて変化に注目してみて下さい!再び元のような1等星の輝きを取り戻してくれると良いですね!

明け方の空では今月になると火星、木星、そして土星までも夏の星座と一緒に見えて来ます。お天気の良さそうなときには早起きして是非ご覧下さい!
そして今年12月頃に小惑星りゅうぐうから地球にカプセルを届けてくれる予定のはやぶさ2ですが、先月発表になった報告でも順調に地球へ向けての帰路を飛行中のようです。
https://mainichi.jp/articles/20200221/k00/00m/040/002000c
無事に地球にカプセルを投下した後のプランも楽しみです。「頑張れ! はやぶさ2!!」これからもみんなで応援していきましょう!

2020年3月の月の満ち欠けは以下のようになっています。
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  3日(火) : 上弦
 10日(火) : 満月
 16日(月) : 下弦
 24日(火) : 新月
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星を眺めるにはやはり月明かりの影響が大きいので星見へ出かけるときの参考にしてみて下さい!
満月を過ぎて数日過ぎれば月の出も遅くなってきますので今月後半はきれいな星空を楽しめそうです!

毎月恒例の会津での3月の日の出、日の入り時刻を先月の2月と比べてみると以下のようになり23ました。
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月   日   薄明始まり      日の出        日の入り       薄明終了
2月  1日  5時 15分    6時 42分    17時 06分    18時 33分
3月  1日  4時 45分    6時 09分    17時 37分    19時 01分
3月 31日  3時 59分    5時 25分    18時 05分    19時 31分
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(StellaNavigator10/AstroArts.にて会津若松市で計算)
3月20日には春分を迎えますので2月と比べるとずいぶんと昼の時間が長くなっていることがわかります。季節は春に向かって日毎に進んでいきますのでそんな様子を身近な草花から感じる方も多いと思います。
今年は、季節の移り変わりを夜空に見えている星座や夕暮れ時間が遅くなってきていることからもぜひ感じてみて下さいね!
それではそろそろ2020年3月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 3月 2日(月) おうし座の3.5等星が月に隠される!
3月に入ってすぐに半月前の月におうし座の星が隠される星食が全国で見られます。
この夜の月はちょうどおうし座の顔付近にあって、隣には赤っぽく光る1等星アルデバランがあるのは肉眼でもわかりそうです。双眼鏡を向けると付近にはたくさんの星が集まっているヒアデス星団も見えて来ます。
今回は半月の影になっている左側から3.5等星のおうし座ε星が隠されて、約1時間後に月の明るい右下から見えて来る現象になります。
会津からは月に隠されるのが22時21分頃、月の後ろから再び見えて来るのは23時22分頃になる予報です。
明るい半月のそばで見られる現象なので今回は双眼鏡か望遠鏡が必要になりますが、時間と共に星が徐々に月に接近していって、ある瞬間にパッと消えてしまう星食は実際に見てみるとなかなか楽しいものです。まだこうした星食を見たことが無い方にもお薦めですね!
今回は見られる時間がちょっと遅めなので月が西の空に低くなってしまうので西側の空が開けた場所で是非ご覧下さい!
月の地平線からの高度は隠れる前で約24度、出現する頃には約12度程になってしまいますので。
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☆ 3月 6日(金) 夕空で金星と天王星が接近! 天王星を見るチャンス!!
夕方の空で眩しく輝いている金星の近くを6日~11日(8日が最接近)にかけて近くを天王星が通過して行く様子が見られそうです。
金星と天王星はこの時期は西空でおひつじ座の胸元から前足付近に見えています。普段なら見つけるのもなかなか大変ですが、この時期だけは金星が良い目印になってくれます!
但し、天王星の明るさはこの頃では6等級なので見つけるには双眼鏡か望遠鏡が必要になります。双眼鏡で金星を真ん中に捉えると6日頃は左上の方に、8日にはほぼ左横に2.2度程まで接近します。11日頃までなら金星の少し左下に眺められますので天王星を見てみたいという方にはこの期間が狙い目です!明るい金星を目印に、空が暗くなった19時頃に捜してみて下さい!
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☆ 3月 10日(火) 満月
今月は10日、2時48分に満月を迎えます。
ですので今月の場合、満月を見たいという方は9日の夜中過ぎがお奨めになります。今回の満月、実は4月にある今年最大の満月とほぼ同じくらいの大きさで見えているそうなので是非ご覧下さい!
大きな満月を見るためには地球と月の距離が近い日を選ぶのはもちろんですが、見るタイミングも重要となります。私たちは地球の地表付近から月を見上げていますので、月が昇った頃よりも南の空で高く見えているときの方が地球の半径分くらい(会津付近だとその差は約5千km程!!)近くから見ることが出来るわけです。
お天気が良かったら是非今月の満月を撮影しておいて、スーパームーンと並べて比較してみて下さい!
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☆ 3月 19日(木) 夜明け前の空で細い月と火星、木星、土星が集合!
今の時期、明け方の空には火星と木星、そして土星が見えています。
19日未明にはそんな惑星たちに月齢24の月が近付いて賑やかな様子が楽しめそうです。こうした中でも火星と木星は1度ちょっとの間隔まで接近している様子が目立っているでしょう。一般的な双眼鏡では全体を同時に見るのは無理ですが、月と木星&火星や月と土星の組み合わせで眺めてみるのも面白そうです。
それぞれの明るさは火星が0.9等星、木星が-2.1等星、土星が0.5等星+月となりますので、今回は明け方の空の中でこの付近がだいぶ賑やかになっていることでしょう!肉眼や双眼鏡でそれぞれの明るさや色の違いも確かめてみて下さい!
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☆ 3月 21日(土) 夜明け前の空で木星と火星が最接近!
21日未明には南東の空で木星と火星の見かけの距離が約0.7度程まで接近した様子が見られそうです。夜明けの時刻が早めになってきていますので見るには4時過ぎ頃が良さそうです。これぐらいまで接近すると双眼鏡だけで無く望遠鏡でも低倍率なら一緒に見ることが出来る珍しい出来事になりそうです。このあと火星は日毎に左下に見えている土星の方へ動いていきますのでそんな様子も楽しめそうです。
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☆ 3月 26日(木) 月齢2の細い月を見つけよう!

26日夕方には西の低い空に細い月が見えて来ますので双眼鏡を使って捜してみましょう!!
日没後30分程過ぎた18時半頃に西の空には宵の明星の金星が見えているはずです。この日の月はちょうど金星のほぼ真下でこの時間なら高度もまだ12度近くありますので見つけるのはそれほど難しくなさそうです。この時の月の月齢は2.0なのでまだかなり細い形です!今月は24日が新月でしたので26日に見える月は三日月になります。本来の三日月っていうのはこんなにも細い月なんです。
19時近くなると空も次第に暗くなってきて地球照も見やすくなってくるので月の丸い形と細い姿の両方を双眼鏡で見比べて見て下さい!
右下方向にある太陽に照らされて浮かんだ月の姿がどうしてあのように見えているのかも考えながら。
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☆ 3月 28日(土) 夕方の西空で月と金星が並ぶ!
先月に続いて28日夕方には月齢4.0の細い月と金星が接近した様子が見られそうです!!
但し、今回は両者の間隔が約7.5度程とちょっと広めなので普通の双眼鏡だと視野の外になってしまいそうなのでどちらかというと肉眼で眺めた方が良さそうです。夕方暗くなる時間が遅くなってきているので19時頃の時間に眺めてみて下さい!金星の左上にはすばるもあるので双眼鏡があればこちらも見ておきたいですね。
このあと金星とすばるは日毎に接近していって、来月初めにはかなり近付いた様子が見られるので今から楽しみです!
この様子は来月の星空案内に載せますのでお楽しみに!
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☆ 3月 31日(火) 22時頃に月面Xが見られる!
先月に続いて今年2回目の月面Xが31日夜に見られそうです!
但し今回は見られる時間がちょっと遅めなので22時頃だと西の空で高度も25度ちょっとくらいになってしまうのですがせっかくのチャンスなので望遠鏡をお持ちの方はぜひご覧になって下さい!
少し早めの21時頃からどんな風にXの形が変化していくのかも追いかけてみても面白そうです。
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☆ 4月 1日(水) 夜明け前の空で火星と土星が最接近!
4月1日、夜明け前の南東の空では火星と土星が約0.9度まで接近した様子が見られそうです。
こちらも見やすい時刻は4時頃になりそうです。火星は0.8等、土星が0.5等なので明るさはそれほど差はありませんが、火星の赤っぽい色と土星のクリーム色っぽい色の違いを双眼鏡などでじっくり見比べてみて下さい!
また、少し右上には明るい木星も見えていますので肉眼でも3惑星が集まった様子もぜひ見てみて下さい!視界が7度くらいある双眼鏡ならこの時には3惑星を一緒に見られるチャンスとなりますよ!火星と土星はこの時期はやぎ座の顔付近で見えています。
このあとの火星は更にやぎ座方向へ移動していきますのでそんな様子も早起きして追いかけて見て下さい!
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