星空画像提供 アストロアーツ https://www.astroarts.co.jp/

2020年も早いものでもう2月を迎えます。
今年の冬はこれまでのところ全国的に雪が異常に少ないという珍しい状況となっています。
あまりこの時期の雪が少ないと夏場の水不足なども心配されますが、それ以上に昨年猛威を振るった大型台風の日本縦断やゲリラ豪雨の影響が気がかりです。
こうした異常気象をもたらしているのは地球温暖化(という日本での呼び名は改めた方が良いのでしょうけれど)だと言われています。
地球全体での平均気温が僅か数℃程上昇しただけで地球環境は皆さんの想像を遙かに超えるような影響を及ぼすようです。
それだけ今の地球環境というのは絶妙のバランスの上で成り立っているということなのでしょう。
太陽系の地球以外の惑星や最近では太陽系以外の恒星にも数千個もの惑星の存在が発見されていますが、今の私たちの住んでいる地球以上に人間が住みやすそうな惑星が存在する可能性はもの凄く低い確率なのだということもわかって来ています。
今のような便利な生活を変えることはなかなか難しいかも知れませんが、改めて地球という惑星の環境問題について考えてみたいものです。
私たちの子どもや孫の世代がこの先も地球で安心して暮らしていけるように。

2月は冬本番を迎えて厳しい寒さの中での生活を何となく想像してしまいますが、気象庁などの長期予報などを見ると今のところ2月も暖冬傾向のようです。
ただ油断は禁物で、場合によっては今まで降らなかった分、いきなり大雪になってしまうことももしかしたらあるかも知れませんので。
今月もあまり寒さが厳しくない分すっきりと晴れる日も少なめの予報ですので、もし綺麗な星空が見えそうな日にはしっかり防寒対策をしてじっくりと星空を楽しんでみて下さい!

星空では夕方の西空で明るく輝いている宵の明星の金星にもご注目下さい!
夕暮れ時の空の明るさがまだ少し残っているくらいの時間帯だと景色と金星が見えている様子をコンパクトカメラのオートモードでも撮影できる場合がありますので、カメラ三脚に載せるか、または手ぶれ防止のために何かしっかりした台に乗せて、セルフタイマーでシャッターを切ってみて下さい!
空の明るさが変化する中で少し時間をおきながら何枚か撮影してみるのがコツになりますのでお試し下さい!
また、同じ宵の明星でもどこで見るかによって印象はずいぶん違ってきますのでたまにはいつもと違う場所でも眺めてみて下さい!

下の画像はひとつの例として、先月25日夕方に星の村天文台で撮影した金星です。

そういえば星の村天文台では例年1月から3月までは夜間での降雪や路面凍結時の危険性を考慮して夜間公開はお休みになっているそうですが、昨年から今年にかけてはまだ殆ど雪も積もっていないので今後も急な積雪や路面凍結が無ければ毎週土曜日夜に夜間公開を行うそうです。
星の村天文台の情報は田村市のサイトにありますので時々ご覧になってみて下さい!
http://www.city.tamura.lg.jp/soshiki/20
出かける際にはお天気や雪の状況などを予め天文台へ電話でご確認して安全に気をつけてお出かけ下さい!

そして最近話題の天体といえばやはりオリオン座の右肩で赤っぽく輝いているベテルギウスですね!
先月ではもう殆ど2等星?といった状況で冬の大三角を眺めても何だか違和感のある見え方でした。

いきなり超新星爆発を起こすという確率は今のところそれほど高くありませんので、このあとまだ更に暗くなってしまうのか?、それとも再び明るさが戻っていくのか?といったところに注目してみたいところです。

下の画像は先月19日に撮影したものですが、画像の上側でベテルギウスと同じように赤っぽく輝いているおうし座の1等星アルデバランと比較すると今のベテルギウスの明るさがだいぶ落ちている様子がわかりやすいですね。
なので、今月も夜晴れたら肉眼でベテルギウスの明るさを確かめてみて下さい!
多少時間はかかっても再び元のような1等星の輝きを取り戻してくれると良いですね!

2020年2月の月の満ち欠けは以下のようになっています。
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  2日(日) : 上弦
  9日(日) : 満月
 16日(日) : 下弦
 24日(月) : 新月
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星を眺めるにはやはり月明かりの影響が大きいので星見へ出かけるときの参考にしてみて下さい!
満月を過ぎて数日過ぎれば月の出も遅くなってきますので今月後半はきれいな星空を楽しめそうです!

毎月恒例の会津での2月の日の出、日の入り時刻を先月の1月と比べてみると以下のようになりました。
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 月   日   薄明始まり      日の出        日の入り       薄明終了
1月  1日  5時 21分    6時 52分    16時 35分    18時 06分
2月  1日  5時 15分    6時 42分    17時 06分    18時 33分
2月 29日  4時 46分    6時 11分    17時 36分    19時 00分
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(StellaNavigator10/AstroArts.にて会津若松市で計算)

2月は1年中で1番寒い時期というイメージがありますが、日の出や日没時刻を調べてみると上の表のように
1月よりも2月の方が着実に昼の時間が長くなっています。
お時間があればそれぞれの昼と夜の時間も計算してみて下さい!
寒さに負けずに星空をゆっくりと楽しみながら今年の冬を乗り切りましょう!!

それではそろそろ2020年2月の主な天文現象を見ていきましょう!!
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☆ 2月 1日(土) 好条件の月面X!

半月頃に望遠鏡を月に向けると欠け際付近には大小様々のクレーターがたくさん存在しています。
中には直径300kmを超えるような巨大なクレーターも存在しています。
こうしたクレーターは月が誕生した頃にたくさんの小惑星のような天体が月面に降り注いで出来たと考えられています。
望遠鏡で月面を眺めていくと・・クレーターの中や隣に重なり合って出来たような形のものもあちらこちらにあることがわかります。
まさに自然が作り上げた造形とも言えるものです。
そんな月面の欠け際から少し影の中に入った場所にアルファベットの「X」の文字が浮かび上がって見えるのが「月面X」と呼ばれる現象です。
度重なる小惑星などの衝突の結果、元々は3個のクレーターの縁の一部分が周囲よりも少し高い状態で残っていて、そこに日の出を迎えたときの太陽の光が先に当たって偶然に「X」の文字の形を見せてくれるようです。
月は地球の周りを約1ヶ月かかって回っていますが、その時に少しだけ上下左右に振れるような動きをしていて、この現象を秤動と呼びます。
綺麗な月面Xを見ることが出来るのはこうした条件もあるので普段の年だと2,3回程度のことが多いようです。
そんな中で2020年は比較的多くの回数が見られそうで楽しみです。
その1回目のチャンスが2月1日20時頃を中心として約1時間程が見頃となりそうです。
見るには望遠鏡が必要になりますが、会津そらの会でこれまで行ってきた組み立て望遠鏡教室で作った望遠鏡なら15倍でも見ることが出来ますので是非ご覧になってみて下さい!

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☆ 2月 5日(水) 夕空で水星が見頃を迎える!

今月10日に東方最大離角を迎える水星が5日頃から見頃を迎えます!!
今の時期、夕方の西南西の空には明るく輝く金星が見えているので、最初に金星を見つけてからその右下付近を双眼鏡で捜せば見つかるでしょう。
5日、18時では金星の高度が約28度程あります。
この時に水星の高度は約5度なので低空まで見渡せるような場所でご覧下さい!
比較的見やすい時期は今月18日頃までなのでその間に何回くらい見られるかチャレンジしてみて下さい!
但し、水星の明るさは5日頃だとマイナス0.9等ですが、10日頃にはマイナス0.5等、そして18日頃には1.3等と徐々に下がっていきますので前半の方が見つけやすいでしょう!
なかなか見るチャンスの少ない水星の姿、この機会にぜひ見つけてみて下さい!

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☆ 2月 9日(日) 満月

今月は9日、16時30分過ぎに満月を迎えます。
会津での月の出は17時2分です。
18時頃になれば東北東の空で月の高度も10度近くまで昇ってきていますので肉眼や双眼鏡で眺めてみて下さい!
夕方なら時間的にまだ満月を迎えたばかりなので欠けている部分も少なくてほぼまん丸のお月様を楽しめそうです。
また、今月の満月は地球と月の距離が比較的近いので4月にあるスーパームーンに次ぐくらいの大きさで見られそうです。
お天気が良かったら是非今月の満月を撮影しておいて、スーパームーンと並べて比較してみて下さい!

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☆ 2月 19日(水) 夜明け前の空で火星と細い月が接近!

今年10月に地球に接近する火星が夜明け前には南東の低い空に見えて来ています。
まだこの時期は地球からも遠く離れているので火星の明るさも1.2等級とそんなに目立つ程ではありませんが19日未明には月齢24.9の細くなってきた月と約4度程まで接近するそうなので双眼鏡で眺めるのが良さそうです。
まだ明け方は化なり冷え込む時期ですがせっかくのチャンスなので是非早起きして見てみたいですね!
この頃だと5時くらいに薄明が始まりますのでこの頃の時間帯が見やすそうです。
双眼鏡で見れば火星独特の赤っぽい色がはっきり見えるでしょう!
火星の位置は先月よりも東に移動していて座の中に見えています。
火星と月の左斜め下には明るい木星とそして土星も低い空に見えているようなので南東から東南東の方角で低い空まで見渡せる場所がお薦めです。
ぜひ木星と土星も見つけてみて下さい!

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☆ 2月 20日(木) 夜明け前の空で木星と細い月が上下に並ぶ!

前日に火星と接近した月は20日未明にはマイナス2等級で明るく輝く木星に接近します。
この時の両者の間隔はわずか1.8度程で、しかも上下に並んだように見ることが出来そうです。
木星が明るいので肉眼ではもちろん、双眼鏡でもなかなか見事な眺めとなりそうです。
南東の方角で低空まで開けた場所なら5時頃に見ておきたいですね。
木星は明るいので多少空が明るくなりかけた5時30分頃までは見やすいでしょう!
月も月齢25.9と細くなってきているので低空の透明度が良ければ地球照も見られそうなのでそんな様子も注目してみて下さい!

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☆ 2月 21(金) 夜明け前の空で土星と細い月が接近!

今の時期は明け方の南東付近に惑星が3個も集まっていて、程々の感覚で離れているので今月は19日から
21日まで、3日連続で月と惑星の接近が起こります!
最終日の21日は月齢26.9の細くなった月と土星の接近です。
但し、この時期の土星はまだ高度が低いのと土星本体も0.6等程なので低空に靄などがあると多少見えにくくなってしまうかも知れません。
月の高度も低いので今回は東南東の方角で地平線付近まで見渡せるような場所で無いと難しいかもしれません。
5時頃に双眼鏡で土星を見つけておいて、土星の左下から昇って来る細い月が見えてくるのを待ちましょう!
5時半頃の高度は土星が約8度、そして月は約4度程になるようです。
低空までお天気が良ければ見られそうなので早起きして是非チャレンジしてみて下さい!
同時に木星や火星、そして一足早めの夏の星座も眺めてみて下さい!
こんな寒い時期に夏のさそり座やいて座を見ているとちょっと不思議な感覚を楽しむことが出来ますので!

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☆ 2月 25日(火) 月齢1.7の細い月を見つけよう!

24日に新月となった月が25日夕方には西南西の低い空に見えて来ますので双眼鏡を使って捜してみましょう!!
この時の月の月齢はなんと1.7なのでまだかなり細い形です!
細い月を見るには低空の透明度が良い日が多い冬の時期が狙い目です!
今回は月を見つけるのにちょうど良い目印となる金星があるので双眼鏡があればそんなに難しくはなさそうです。
18時頃に西南西の空にはもう明るい金星が見えているはずです。
この時の月の高度は約9度程で金星のほぼ真下にいますので最初に双眼鏡で金星を捉えて、そのままゆっくりと下に向けていくと細い月が見つかるはずです。
18時20分頃になれば少し空も暗くなっているのでお天気が良ければ肉眼でも細い月の姿が確認出来そうです。
滅多に見られない細い月の姿ぜひご覧下さい!

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☆ 2月 27日(木) 西南西の空で細い月と金星が接近!

先月に続いて27日夕方には細い月と金星が接近した様子が見られそうです!!
但し、今回は両者の間隔が約7.5度程とちょっと広めなので普通の双眼鏡だと視野の外になってしまいそうなのでどちらかというと肉眼で眺めた方が良さそうです。
空の明るさがちょっと暗くなってきた18時頃でも金星の高度はまだ36度くらいありますのでちょっと離れて並んだ様子は見やすそうです。
まだ寒い時期ですが、お天気が良ければご家族やお友達にも声をかけて眺めてみて下さい!
月の方は月齢3.7とまだ細めの月なので双眼鏡でも眺めてみるのも良さそうです。
空の明るさがまだ少し残っているくらいの時間帯ならコンパクトデジカメのオートモードでも撮影できそうなので是非お試し下さい!

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