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画像提供 アストロアーツ astroarts.co.jp

今日から3月になりました。

神奈川では桜の便りがあるのに北海道では暴風雪など、今の時期は冬と春が同居していますね。
皆さんご存知の通り、日本列島は細長い形のために季節感が幅広いのですよね。
ところで、最北端(択捉島)と最南端(沖ノ鳥島)の直線距離は3020kmだということですが、
これは昨年12月3日に「はやぶさ2」が地球に最も接近したときの距離とほぼ同じなんです!
同日19時過ぎ、ハワイ諸島の近くの太平洋上空通過時の高度は約3090kmで、広い広い宇宙のなかでは、目と鼻の先・・いや、まつ毛の先ぐらい?ものすごく近い場所を通ったわけですね。
その「はやぶさ2」は今日現在、地球との距離が2797万kmにもなっています。
2018年の小惑星リュウグウ到着に向けて順調に飛行中。応援しましょう!

http://www.lizard-tail.com/isana/hayabusa2
H2Track はやぶさ2の位置がわかるisana(@lizard_isana)さんのサイト 

また、先月2月17日(水)には、X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-Hアストロ・エイチ)が宇宙空間にデビューしました。
「ひとみ」は光ではなくX線で宇宙を観測するのですが、広い波長域で画像を撮り超精密にエネルギーを測る、二種類の望遠鏡を二種類搭載しています。
衛星本体を利用した全長14mの巨大なX線望遠鏡によりエネルギーの高い硬X線を100倍も計測できるようになったということは、デジカメでいうと、より高感度になったということ。
100倍ってすごいですね!
日本がNASAや世界各国の協力をえて開発した新世代の天文衛星、運用開始は4月の予定です。

ASTRO-Hプロジェクトサイト 
http://astro-h.isas.jaxa.jp

ファン!ファン!JAXA
http://fanfun.jaxa.jp/topics/detail/6821.html

(c)
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今月はなんといっても4年ぶりとなる部分日食、そして半影月食も見られる等大きな天文現象がいくつもあってなかなか賑やかな月となりそうです。
また夜空では太陽系最大の惑星である木星がしし座で観察好機を迎えていて、今年はこのあと7月初め頃までしばらくの間夜空で明るく輝く姿を楽しめそうです。
明けの明星の金星はかなり低くなってしまっているので、この後しばらくは見えにくくなってしまいますが、明け方の空に姿を見せているさそり座付近には火星と土星も見えているので、お天気の良さそうな時にちょっと早起きして夜明け前の空を眺めてみて下さい!

毎月恒例の会津での3月の日の出と日の入り時刻、2月初めと比べてみると以下のようになりました。
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    月   日   日の出      日の入り    
    2月  1日  6時42分    17時 6分 
    3月  1日  6時 9分    17時37分
    3月 31日  5時25分    18時 5分 
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こうして見てみると2月に比べて3月はだいぶ昼の時間が長くなってくることがわかります。
3月20日には早くも春分の日を迎えるのでそれ以降は夜よりも昼の時間が長くなっていきます。
こうして日々季節は少しずつ春に向かって行くわけです。
本格的な春の訪れが待ち遠しいですね。

今年6月には大西卓哉宇宙飛行士が最初の長期滞在予定の国際宇宙ステーションも、今のうちにチャンスがあればぜひJAXAの予報を時々チェックして見ておいてください!!  
 国際宇宙ステーション 会津方面での予報はこちらから。
 http://kibo.tksc.jaxa.jp/letsview/visibility1/kitakata/index.html

見える位置などは毎回変わりますので1回見て終わりでなく何度か見てみて下さいね!
また、慣れてきたらぜひ国際宇宙ステーションの撮影にもチャレンジしてみて下さい!

それではそろそろ2016年3月の主な天文現象を見ていきましょう!!

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☆ 3月 1日(火) 明け方の空で半月と火星の接近!

3月に入ったばかりの1日未明の空で半月と火星が並んだ様子が見られそうです。
今回の接近した様子が見やすい時間は明け方の5時頃で、この頃だとちょうど南の空で下弦前の月と先月よりも赤っぽい色が目立ってきた火星が2.8度程の距離で並んだ様子が楽しめそうです。
ぜひ早起きして双眼鏡で眺めてみたいですね!

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☆ 3月 9日(水) 全国で部分日食が見られる!!

日食20160309a
3月9日の部分日食、会津での見え方

今月9日には全国で4年ぶりとなる部分日食が見られます!!
今回の部分日食は欠ける割合が会津では直径比で22%程までとそれほど大きく欠けるわけではありませんが・・ここ数年程は日本で見られる日食がありませんでしたし、この次に日本で見られる日食は2019年までありませんのでぜひこの機会を逃さずに見てもらいたいものです。

但し気を付けなければならないのは、太陽の光や熱がとても強烈なので肉眼でそのまま太陽を直視することは目を痛めるなどの危険性がありますので必ず太陽観察用に作られている日食メガネを使って安全に配慮しながら観察を行ってください!
日食メガネは市販品もありますし、学校などでは教材などで置いてある場合がありますので是非この機会に活用してもらえると良いですね。
天文雑誌の星ナビ3月号には日食観察プレートが付録で付いています!!
4年前の金環日食の時に使った方は今のうちに捜しておいてください!
但し実際に使う前に減光フィルター部分に傷や剥がれなどが無いことをしっかりと確認してから使って下さい!
また、双眼鏡や望遠鏡で太陽を見てしまうと失明などの危険性もありますので、日食観察を行う際には周りの方にも十分気を付けて下さいね!

9日は水曜日で平日ですが、学校などでも授業の途中で欠け具合の大きくなる11時過ぎくらいに少しでも観察できるようにしてもらえるといいですね。
早目に先生に交渉してみて下さい!

日食の場合には観察する場所によって始まる時刻や欠け具合、そして終わる時刻も違ってきます。
会津方面での日食予報は以下の時刻を参考にして下さい!!
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欠け始め 10時18分
最大   11時11分 
終わり  12時 3分
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今回の日食は東インド洋からインドネシア、北太平洋の一部では皆既日食となって見ることができます。
現地からのインターネット中継などもあるようなのでそちらもチェックしてみて下さい!
また、ちょっと気になったので調べて見たら今度の日食の時の太陽の見かけの大きさは32.2分角、そして太陽を隠す月の見かけの大きさが33.6分角となっているようです。
月の大きさの方が少し大きいので今回は皆既日食となって見ることができるわけですね。
type_total

ところで今回の部分日食を機会に地球と月、そして太陽の大きさとその距離の関係を改めて学んでみてはいかがでしょう??
よく見かける日食の見られる地球と月、そして太陽の位置関係を描いた下記のような模式図などでは殆どの場合で大きさと距離を正確には描いていないので地球と月の位置関係を誤解されてしまっている場合が多いようです。

身近にあるボールなどを使って地球と月の大きさと距離の関係を再現してみると面白そうですのでぜひお子さんと一緒にお試しください!!

地球の大きさを1とすると月の大きさは約0.27程なので地球のおよそ1/4くらいになります。
そして地球と月の距離は地球を回っている月の軌道が楕円なので多少変化していますが、平均すると約30.1程になります。
地球を100円ショップなどで売っている直径10cm程の地球儀を使うと、月は2.7cmくらいの大きめのビー玉かスーパーボール等が使えそうです。
地球が10cmなら地球と月の間隔は約3m程になるので実際に置いてみると・・地球の大きさに比べて月までの距離がずいぶんと離れていることがよくわかります。(3mのひもを用意すると便利です)
日食の場合には月の影が地球に届いて太陽を隠すことで見ることができるわけですが・・実際の比率で見てみるとこんなに離れているのに影がうまく届いているんだと感心してしまいます。
また、地球を回る月の軌道は約6度くらい傾いているので、3m離れている月は30cm以上も傾いた軌道を回っていることになりますので軌道が交差するどちらかのポイントで新月にならないと今回のような皆既日食は起こらないことになります。
ちなみにこの模型を使った場合には太陽の大きさは約10.9m、地球からの距離は約1.17km離れていることになるようです。
このような模型を使って実際に確かめてみると・・本などで読んだだけではわかりにくいことでも意外と理解しやすくなるのでいろいろ試してみて下さい!

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☆ 3月 9日(水) 木星が衝を迎える

3月に入ってからは夜空が暗くなった頃に東の空でとても明るい星が輝いている様子を見る機会が増えてくるはず!!
その明るい星の正体は太陽系最大の惑星の木星です。
木星は現在はしし座の後ろ足付近にあって今月9日には1年中で最も木星の観察に適した時期を迎えます。
この頃の木星はマイナス2.5等級と金星に次ぐ明るさになっているので明るい街中からでもはっきりと見ることができます。
肉眼では明るく輝いている様子がわかるだけですが、望遠鏡を向けて見ると日毎に位置を変えていくガリレオ衛星や本体の縞模様など変化もあるので機会があればぜひ望遠鏡でじっくりと眺めてみたい天体です。
4月からは会津そらの会で毎月行っている望遠鏡を使った観望会も始まる予定です。
しばらくの間は月と木星が主役で観察対象になりそうなのでお楽しみにお待ちください!!

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☆ 3月 14日(月) おうし座のヒアデス星団の星が月に隠される星食に注目!!

まだ上弦の少し前の月がおうし座のヒアデス星団の中を通過していくつかの星を隠していく様子が見られそうです。
中でも双眼鏡などでも見やすいθ(シータ)1という星は3.8等級なので、20時56分頃に影になっている部分から隠されていく様子はぜひ見ておきたいところです。
10分ほど前から見ていると時間とともに月に接近して行く様子はなかなか興味深い様子で眺められます。
さらに地球照でうっすらと見えている月の影になっている縁に隠される瞬間がまたとても印象深いものになります。
今回は月が明るいので双眼鏡が必要になりますが、他にもヒアデス星団の近くの星がいくつか次々と月に隠されていく様子も見られますのでかなり楽しめそうです。
月に隠されたθ1星はこのあと21時40分頃に再び月の後ろから姿を見せますのでこちらもぜひご覧ください!

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☆ 3月 23日(水) 全国で半影月食が見られる!

今月9日には部分日食があったばかりですが・・23日夕方からはなんと月食も見られそうです。
但し、今回の場合には半影月食ということなので薄い影に入っても普段の満月よりちょっと明るさが落ちる程度になるだろうと予想されているので肉眼だとちょっとわかりにくいかもしれません。
これがデジカメなどで月をある程度望遠レンズでアップで撮影してみると部分的に暗くなった様子が肉眼よりもずっとわかりやすくなりそうですので機材をお持ちの方はある程度の時間毎に撮影にチャレンジしてみて下さい!。
日食と違って月食の場合には始まりや終わる時刻は国内では殆ど同じですので下記の時刻を参考にご覧になってみて下さい!
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半影月食の始まり 18時37分
半影食最大    20時47分
半影月食の終わり 22時57分
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こうしてみると意外と長い時間かかって地球の影の中を通り過ぎて行くようです。
ずっと眺めているのは大変なので休憩を取りながら観察してみて下さい!

今年は9月にもう1回半影月食がありますので次回の観察や撮影の為にも今回の機会にどれくらい明るさの変化があるかぜひ確かめてみて下さい!

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☆ 3月 29日(火) 明け方の空で半月と火星の接近!

今月2回目となる月と火星の接近です。
今回は月は月齢20程なのでまだちょっと丸みを帯びている形で、1日未明の時よりも両者の間は3.5度くらいとちょっと離れますが、ほぼ一月の間に火星の明るさが0.3等級=>マイナス0.4等級へと明るくなっていることにも注目しておきたいですね。
また、火星の見えている位置も前回のてんびん座からいつのまにかさそり座の方向へ意外と大きく動いて土星との間隔もだいぶ近くなっているはずです。
だいぶ夜明けの時間が早くなってきていますので今回は4時頃が見やすい時間となるようです。

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☆ 3月 30日(水) 明け方の空で半月と土星の接近!

30日未明には今度は月と土星の接近した様子が見られそうです。
月齢21の月と土星の間隔は3.4度程なのでこちらもぜひ双眼鏡で一緒に見ておきたいものです。
土星の明るさは0.1等級で近くの火星との色や明るさの違いにも注目してみて下さい!
こちらも4時頃が南の空で見やすくなりますのでちょっと早起きして一晩での月の移動して行く様子を確かめてみて下さい!。

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(M.T)